2025年– date –
-
心を静め、目を澄ませ――無事にも有事にも揺れない心を持て
何も問題が起こらず、日々が平穏であるとき、人の心はつい緩み、ぼんやりと曇りがちになる。こういうときこそ、心を落ち着かせつつも、目はすっきりと澄ませて、物事の本質を見失わないようにしたい。 一方で、突発的な出来事や問題が起きると、心は浮き足... -
心は宇宙そのもの――喜怒哀楽もまた自然の一部
人間の心は、まるで天の運行や宇宙の秩序のように、さまざまな感情が絶えずめぐりゆく小さな宇宙である。 一念の喜びは、天に輝く吉兆の星やめでたい雲のようなもの。一念の怒りは、雷鳴とどろき、雨風激しい嵐のようなもの。一念の慈しみは、穏やかなそよ... -
思いやりの心は、人として生きる証である
「ネズミのためにご飯粒を少し残す」「ガ(蛾)が飛び込んでこないように灯をともさない」――昔の人は、そんなささやかな行いに、命あるものすべてを思いやる心を込めていた。 こうしたほんの一点の優しさは、私たち人間が他の命とともに生きるうえで最も大... -
人が敬うのは地位と装い、人が侮るのも見かけにすぎない
もし自分が高い地位に就けば、人々は持ち上げてくれるだろう。だが、それは自分自身を敬っているのではなく、高位高官の礼服(峩冠大帯)という「装い」を敬っているにすぎない。 逆に、自分が低い身分にあれば、人々は軽んじてくるかもしれない。しかしそ... -
心を空にし、意識を澄ませば、本当の自分が現れる
心が空(から)で静まっていれば、雑念が取り払われ、本来の自分=本性が自然と姿を現す。しかし、心がざわついたままで「自分を知ろう」としても、それは波立つ水面をかき分けて月の姿を探すようなものであり、見えるはずがない。 また、意識(心のはたら... -
恩は徐々に厚く、威はまず厳しく――人の心を動かす順序の知恵
人に恩恵を施すときには、最初は控えめにして、後から少しずつ厚くしていくのがよい。最初に大きく施してしまい、後で減らしてしまうと、人はその恩をすぐに忘れ、感謝の念も薄れてしまう。 逆に、人に対して威厳を示す必要があるときには、初めに厳しくし... -
本物の非凡は自然体にあり、奇をてらえばただの偏屈になる
本当に非凡で優れた人とは、自然に俗世を超越している人である。しかし、わざと人と違うことをして目立とうとする者は、奇才ではなく、ただの変人にすぎない。 また、世間と関わりながらも、その俗っぽさや汚れに染まらず、心の清らかさを保っている人こそ... -
他人には寛容に、自分には厳しく。苦しみには手を差しのべよ
人の過ちは、あたたかく受けとめ、寛大に赦してあげるべきである。しかし自分の過ちについては、どこまでも厳しく省みなければならない。 また、自分の苦しみや屈辱は、じっと耐える覚悟を持つべきだ。けれど、他人が苦しんでいるときには、ただ見過ごすの... -
思いつきは続かず、ひらめきは迷いに変わる
物事を思いつきのまま始めると、勢いにまかせて行動できるのは最初だけ。熱が冷めれば、すぐに手を止めてしまう。これでは、「不退の輪(限りなき前進)」など望めない。 また、一時的な感覚やひらめきによって「悟った」と思ったとしても、それが真の悟り... -
勤勉と倹約を、私欲の道具にしてはならない
本来、「勤勉」とは道徳や義に対して敏感であり、人格を磨くために努力する姿勢を意味していた。しかし今では、単に貧しさを脱してお金を得るための手段として使われがちである。 また「倹約」とは、本来は利益に淡白で、欲望を抑えて心静かに生きるための...