2025年– date –
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心・人・物において“使い尽くさぬ”こと――それが未来への徳となる
第一に、自分の心を物欲で曇らせないこと。私欲に覆われた心では、何を見ても正しく判断できなくなる。 第二に、人の情にすがりきらないこと。人の親切や厚意を当然のように受け尽くしてしまえば、人間関係の調和は崩れてしまう。 第三に、物の力を使い果... -
騒がしさに流されぬために、静かなときに心の軸を整える
忙しいときにも心の余裕を保ちたいと願うのなら、まずは時間に追われない静かなときに、自分の心の「つか(柄)」を探しておくことが必要である。また、騒がしい状況でも静けさを保ちたいと思うなら、まず落ち着いた環境で、自分の心の主宰=主体性を確立... -
外の飾りより、内なる輝きを――人の価値は中身に宿る
功績を誇り、学問や教養をひけらかすような人は、人間としての価値を“外物”に頼って生きている。しかしそれは、真に価値ある生き方とは言えない。 本当に大切なのは、自分の心の本体――「心体(しんたい)」が、玉のように澄み輝いていることである。もしそ... -
耐えることは、人生を支える一本の柱である
昔の人はこう言った――「山に登るときは、傾いた道に耐えながら進まなければならない。雪道を行くときは、危ない橋を渡るのに耐えることが必要だ」と。 この「耐(た)える」という一字こそが、どれほど深い意味を持っていることか。 人の心は傾きやすく、... -
奇を求めず、平凡な徳を積む者が、最も穏やかに人生を全うする
陰謀や怪しげな習慣に頼ったり、奇妙な行動や人をあざむくような特殊な能力を誇示して、この世をうまく渡っていこうとすることは、いずれ禍(わざわ)いを招く種となる。 人目を引き、不思議がられるような力や振る舞いに価値があるように思えても、それら... -
一念のやさしさが、未来の世を清らかにする
たとえ小さなものであっても――私たち一人ひとりの、ほんのひとかけらの誠実さや思いやり(慈祥)は、この世の中になごやかな空気をゆっくりと醸し出していく。 そして、心の奥底にあるたった一寸(いっすん)の潔白な思いは、百代(ひゃくだい)――つまり、... -
誠と正義をもって接すれば、どんな人も感化できる
うそをついて人をだまそうとする者に出会ったなら、こちらは誠実な心をもって接し、その心を動かし、改心させたい。乱暴で手がつけられないような者には、あえてやわらかな和やかな気持ちで接し、ゆっくりと温めるように感化したい。心がねじれて私利私欲... -
正しさを振りかざせば傷つく、静かに温かく生きるのが最上である
節義や主義を声高に掲げる人は、その節義によってかえって人に批判されやすい。学問や道徳を売り物にする人は、むしろその道徳を口実にして責められることが多い。 だからこそ、君子(徳のある人物)は、悪に染まらず、しかし善名を立てようともしない。た... -
要職にある者は、正しさと親しみを備え、悪人に近づかず毒に刺されるな
士君子(しのくんし)――すなわち品位ある人物が、権力を持つ立場や重要な職務に就いたときには、まずその行いを厳格かつ明確に保つことが求められる。どこまでも公明正大に仕事を進めるべきである。 同時に、人と接する際には、和やかで柔和な心持ちを忘れ... -
検討は客観的に、実行は当事者として――役割に応じて心を切り替えよ
物事を議論・検討するときは、自分の立場を一度外に置き、あたかも第三者のような目で「利害得失」を冷静に、十分に考えるべきである。しかし、その案件を実際に遂行する立場に任じられたならば、もはや利害得失の思案を引きずるべきではない。すでに決ま...