2025年– date –
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流れに任せて生きる――無執着と不動心の境地
自分の身は、つながれていない舟のようなもの。流れてもよし、止まってもよし――すべてを自然のままに委ねる。流れに逆らわず、無理に方向を定めようとせず、ただ、流れゆくままに身を任せる。 また、心は、もはや生気を失った枯木のようである。だから、た... -
心が乱れれば世界は敵に見え、心が静まればすべてが調和する
心が動揺していると、ほんの小さなことにも不安や恐れを抱いてしまう。たとえば――弓の影を見ては蛇やサソリだと疑い、草の中の石を見ては虎が伏せていると思い込む。このような状態では、見るものすべてが殺気をはらんで見え、心はますます恐れに染まって... -
知識ではなく、心で感じる――詩も禅も“味わう”ことが本質
たとえ一文字も読めなくとも――心に詩の情趣(こころ)がある人は、詩の世界を深く味わい、真の面白さを理解することができる。 また、一偈(いげ)も学んだことがない人であっても――禅の精神の“味”を心で感じ取ることができる人は、禅の奥深い極意にふれる... -
春の華やかさも良いが、秋の澄んだ美には及ばない
春の日は、万物が一斉に芽吹き、景色は華やかで心も朗らかになる。その**「気象繁華(きしょうはんか)」の美しさは、人の心をゆるめ、のどかでゆったりとした気持ち(駘蕩)**にさせてくれる。 しかし―― 秋の日には、白い雲と澄んだ風が広がり、蘭(らん... -
志を保ちながら、環境の力で心を整える
山深い林や、泉の湧く岩場――そうした自然の中を気ままに歩くことで、世俗の煩わしさに染まった心も、次第に静まり清められていく。 また、詩や書の読書にふけり、絵画をゆったりと鑑賞するような時間は、知らず知らずのうちに心を洗い、身に染みついた俗気... -
栄達を望まなければ、惑いも失望も近づかない
私が出世や栄誉を望まなければ、世間が差し出してくる**「利禄(りろく)」――大きな利益や高禄――という**香り高い誘惑(=香餌)に心を乱されることもない。 私が人と競って官職や名声を得ようとしなければ、誰かに足を引っ張られたり、策略に陥れられたり... -
理想郷は遠くにあらず――日常にこそ、喜びと静寂がある
竹垣のそばで犬が吠え、鶏が鳴く――ただそれだけの素朴な音が、ふと心をうっとりさせて、まるで雲の中にある仙人の世界にでもいるような気分にさせてくれる。 また、書斎にいると、いつも蝉の声が聞こえ、カラスの鳴き声が響く。そのときに初めて気づくのだ... -
身と心を自由に保てば、世間の動きに左右されない
自分の“身”を、つねに間(ま)ある静かな場所――つまり心身の余白を持った場所――に置いておく。そうすれば、世間でよく言われる**「栄誉」や「恥辱」、「成功」や「失敗」**といった騒々しい評価に、心を振り回されることはない。 また、自分の“心”を、つね... -
光を和らげ、塵に同ず――俗の中にあって、俗に染まらず
俗世間を超越する(=出世)ための道は、山に籠ることではない。むしろ、この世の中を普通に生き、世の人と交わりながらも、その内に静かなる悟りを持っていることが本当の出世の道である。 また、心を悟る(=了心)ための修行とは、欲を断ち切り、人間味... -
濃は淡に勝てず、俗は雅に及ばない――真の品格は静けさと素朴さに宿る
高位高官たちが、礼服や冠(衮冕)を身にまとって行進している中に、藜(あかざ)の杖をついた一人の隠者(山人)が加わると、その場に凛とした高風(こうふう)=品格ある趣が一段と引き立つ。 一方で、漁師や木こりが行き交う田舎道に、礼服を着た役人(...