2025年– date –
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本当の知恵とは、未来のリスクを見抜く力にある
病気になって初めて健康のありがたさに気づく。戦乱に巻き込まれて、ようやく平和の尊さを思い知る――これでは、決して「先見の明」があるとは言えない。それはただ、失ってから気づく“後知恵”に過ぎないからである。 本当に卓越した見識を持つ人は、幸福を... -
自分の「本来の面目」に立ち返り、絶対の静けさに遊ぶ
一度、こう問いかけてみる――「自分がまだこの世に生まれていなかったとき、 いったいどんな顔をしていて、どんな姿をしていたのだろうか」 さらに、こうも考えてみる――「やがて死んだ後、私はどんな状態になるのだろうか」 こうして過去・未来の“存在しな... -
真の風流とは、自由と気ままさの中にある
隠者の暮らしにおける「風流」とは――礼儀や形式にとらわれず、すべてを自分の気分や好みにまかせて、自然体で過ごすことにこそある。 だからこそ、 酒は無理にすすめ合わず、飲みたいときに飲むのが楽しい。 囲碁は勝ち負けにこだわらないからこそ面白い。... -
理と事、心と境――すべては一体である
宇宙の根本的なあり方である「理(ことわり)」が空寂(くうじゃく)――すなわち、すべての執着を超えて空しく、静かであるならば、その現れである「事(ことがら)」もまた、同様に空寂である。 それなのに、「事」は幻だからと退けて、「理」だけを求める... -
自分を中心に据えれば、すべては自由になる
自分の人生の主役は自分であり、外の出来事や環境、周囲の反応は、あくまでそれに付随する脇役にすぎない――そう考えられる人は、成功しても大いに喜ぶことはなく、失敗しても、くよくよ悩むこともない。 どんな状況であれ、大地を悠々と歩むように、自分の... -
真の巧みさは、素朴さの中にある
文章というものは、華美で巧妙に見えるよりも、むしろ“拙(つたな)さ”を守ることで味わいが生まれ、深まりを持つ。また、道を修める修行も、器用さではなく、地道で素朴な“拙”を守ることでこそ、本当に身についていく。 この「拙(せつ)」という一文字の... -
自然と心はひとつ――すき間なく溶けあっている
冬の夜、月の光が雪景色を照らしているのを見れば、私たちの心も、まるでその光に染められたように、澄みわたり、静かに清められていく。 また、のどかな春風が肌をなでるように吹けば、それに応じて、気持ちも自然とほぐれ、やさしくやわらいでいく。 こ... -
放つも締めるも、自在に扱えるのが理想の境地
唐の詩人・白居易(白楽天)はこう言った――「身心を解き放ち、目を閉じて、すべてを自然のままに任せるのがよい」。 一方、北宋の詩人・晁補之(晁无咎)はこう述べた――「身心を引き締めて、凝然たる静けさのなかで禅定に入ることが最もよい」。 この二つ... -
精神の感受性を養い、静けさの中に動きを見出す
あたり一面が静まりかえり、すべての音が消えたような寂寥のなかで――ふと、一羽の鳥の鳴き声を耳にすれば、その一声だけで、心の奥底から幽玄な趣きが次々と呼び起こされてくる。 また、冬の終わり、ほとんどの草花がしおれ、朽ち果てたあとの景色の中で、... -
喜びは、飾りのない静けさの中に宿る
たとえ狭い部屋で暮らしていたとしても、心の中の雑念をすべて捨て去ることができれば、わざわざ豪華な楼閣にあるような――色あざやかな棟を仰ぎ、雲の流れを追ったり、きらびやかな玉のすだれ越しに雨をながめたりといった、ぜいたくな趣を求める必要はな...