2025年– date –
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身内を律せぬ者に、国を治める資格なし
—一時の情より、永続の制度を守れ 太宗は、皇族の義父・楊誉が下働きの婢をめぐって騒動を起こし、官吏の薛仁方が法に従って取り調べたことに腹を立て、薛を罰した。それに対して魏徴は、「身内を特別扱いすれば、国の統制は失われる」と直諫する。 「狐や... -
盛儀よりも、民の安寧を
—見せかけの栄光より、実のある政治を 突厥は平定され、瑞祥は現れ、五穀豊穣――誰もが皇帝の封禅を勧める中、魏徴はただ一人反対を貫いた。「功績はあっても、民はまだその恩に浴していない」「収穫は続いていても、倉は空である」「礼を尽くす余裕は、ま... -
忠よりも良を、滅びよりも繁栄を
—真に国を救うのは、理にかなう「良臣」 魏徴が讒言されたとき、太宗は「嫌疑を受けないよう形に注意せよ」と諭した。これに対して魏徴は、「形(見た目)ではなく、義(正義)に基づくことこそが政治の道」と反論する。そして、「私を忠臣にしないでくだ... -
忠義の仮面をかぶった讒言は、国を腐らせる
—正しさを装う者にこそ、真の害あり 人を誣告し、謗(そし)っては正義を語る者がいた。太宗の御前に何度も召される御史、権万紀と李仁発。彼らは忠誠の名のもとに、根拠なき糾弾を繰り返し、太宗の怒りを煽り、多くの有能な官僚がその冤罪に怯えた。 魏徴... -
信なくば、国は立たず
—恩恵は、確かな約束と一貫した政策の上に 太宗は即位直後に、関中で2年、その他の地で1年の租税免除を発する。しかしその後、実施の時期を改める詔勅が続いたことで、民衆は混乱し、期待が裏切られる結果となった。魏徴はこれを厳しく諫め、「徳を積むな... -
権力は民の幸せを思ってこそ徳となる
—たとえ一人の娘の縁談であっても 皇帝であっても、民の幸福を顧みずに自らの欲を優先すれば、たちまち徳は損なわれる。太宗が美しい娘を後宮に召そうとしたとき、魏徴はその娘がすでに婚約していると聞き、ためらうことなく進言した。「人民の喜びを奪う... -
諫めの心は、日々の姿勢から育つ
幼いころから正しき姿を見て育った者は、やがて自然にその徳を身につける。太宗の皇太子(のちの高宗)は、ある日、父帝が激怒して部下を処刑しようとした場に居合わせ、命がけでこれを諫めた。周囲の者は「皇太子が帝の機嫌を気にせず諫言するなど前代未... -
第九章 進言を奨励する態度かどうか
第九章「進言を奨励する態度かどうか」解説 この章は、唐の太宗(李世民)が**「真の進言を引き出す難しさ」**と向き合う姿勢を描いた場面であり、彼の治政哲学における根幹にかかわるテーマ――直言(諫言)とその受容のあり方――を扱っています。 1. 内容の... -
第八章 国の良薬
第八章「国の良薬」は、非常に短い章ではありますが、「諫言を薬と見なす」唐の太宗の政治哲学を象徴する重要なエピソードです。 章の要点 時代背景:貞観十七年(643年) 登場人物: 高季輔(こう・きほ):皇太子付きの右庶子(侍従役)、有識者であり進... -
第七章 馬よりも信用が大事
第七章「馬よりも信用が大事」は、外交における信義と威信の大切さを強く訴える内容であり、魏徴の諫言が再び、唐の太宗による政治の成熟度を高める決定打となる章です。 章の要点 時代背景:貞観十五年(641年) 登場人物: 太宗(唐の皇帝):西域政策を...