2025年– date –
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師を慕うとは、形ではなく心で続けること
尊敬とは、永く心に留めることである。代替ではない 孟子は、孔子が亡くなった後の門人たちの姿を回想する。 三年の喪と子貢の姿 弟子たちは、血縁がないにもかかわらず三年間の喪に服した 喪が明けると、皆で荷物をまとめて郷里に帰ろうとし、子貢に丁寧... -
師を裏切るな。真の学びは忠と信から生まれる
師が亡くなったからといって、思想や信義を捨ててはならない 孟子は怒りを込めて、こう言う。 「私は、文化の高い中国が未開の異民族を感化し、変えたという話は聞いたことがある。だが、中国が夷(い:異民族)から感化されたなどという話は、聞いたこと... -
天下のために人を得る。これが最大の「仁」である
恵みを与えるより、徳を教えるより、人材を得ることが最も難しい 孟子は説く。 堯は、天下のために舜のような人材を得ることを最大の心配事とした 舜は、同じく天下のために禹や皐陶のような人材を得ることを一番の憂いとした 農民が自分の百畝の田の収穫... -
衣食が足りて初めて、教えが活きる
人は飽食・安逸だけでは禽獣に近づく。人を人たらしめるのは道である 孟子は舜の治世を引きながら、次のように説く。 舜は農政の責任者である后稷に命じて、民に五穀の耕作法を教えさせた。これにより、五穀は熟し、人々は育ち、長く生きられるようになっ... -
現実には、耕したくても耕せない時がある
聖人の務めは、理想ではなく、民を救うことにある 孟子は、許行の「賢者は民と共に耕すべし」という教えに対し、伝説の聖王・堯・舜・禹の実例を挙げて反論する。 堯の時代、天下はまだ混乱し、洪水が横行していた。 草木は伸び放題 禽獣が人の生活を脅か... -
政治は分担で成り立つ。心を労する者、力を労する者
人はそれぞれの場所で、社会を支えている 前章までで、孟子は「すべてを自分でやる」という許行の教えの非現実性を明らかにした上で、ここで一気に結論を提示する。 「もし天下を治める者が、自ら耕して全てをまかなうというのなら、それこそ不自然な話だ... -
人は一人で生きられない。社会は互いに支え合っている
真の自立とは、他者と関わることから始まる 許行の弟子となった陳相が「聖人は民と共に耕し、生活も自ら担うべきだ」と主張したのに対し、孟子は彼の主張の矛盾をつく鋭い対話を展開する。 孟子の問いとその核心 「許子は必ず穀物を自分で作るのか?」→ 「... -
思想を軽々と乗り換えるな。学びには深き根を持て
感化されやすい心では、真の知も徳も身につかない かつて儒者であった陳相は、許行の学説に心酔し、孟子にこう語った: 「あなたの国の君主は、たしかに賢い方です。しかし本当の道――神農氏の教え――は、まだ知られていないようです。真の賢者とは、民と共... -
良き政治には人が集まる。徳ある君主のもとにこそ
力によらず、人心を得てこそ、真の統治である 楚からやってきた許行は、自らを「神農の教えを伝える者」と称し、文公の仁政を聞きつけて門前までやってきた。 「私は遠方から来た者です。あなたが仁政を行っていると聞き、この国の一人の民となりたく参り... -
制度は設計だけでなく、実践で完成する
制度を潤すのは、為政者の熱意と工夫 孟子は、仁政を実現するための井田法の「大略」を語り、その実行が文公とその臣下の努力にかかっていると説いた。 土地の配分と役割の明確化 卿(大臣)以下の役人には、祭祀の費用を賄うための圭田(けいでん)50畝 ...