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本質に戻り、静かに進め──しなやかな知が未来を導く
『老子』第五十二章「歸元」 1. 原文 天下有始、以爲天下母。旣得其母、以知其子。旣知其子、復守其母、沒身不殆。塞其兌、閉其門、終身不勤。開其兌、濟其事、終身不救。見小曰明、守柔曰強。用其光、復歸其明、無身之殃、是謂習常。 2. 書き下し文 天下... -
支え、任せ、支配せず──静かな徳が人と組織を育てる
『老子』第五十一章「養德」 1. 原文 道生之、德畜之、物形之、勢成之。是以萬物莫不尊道而貴德。道之尊、德之貴、夫莫之命而常自然。故生之、畜之、長之、育之、亭之、毒之、養之、覆之。生而不有、為而不恃、長而不宰、是謂玄德。 2. 書き下し文 道(み... -
執着せずして生き抜く──死地を避ける柔らかき知恵
『老子』第五十章「貴生」 1. 原文 出生入死。生之徒十有三、死之徒十有三、人之生、動之死地、亦十有三。夫何故?以其生生之厚也。蓋聞善攝生者、陸行不遇兕虎、入軍不被甲兵。兕無所投其角、虎無所措其爪、兵無所容其刃。夫何故?以其無死地。 2. 書き下... -
信じて預け、善で包む──“差をつけぬ徳”が人を育てる
『老子』第四十九章「任德」 1. 原文 聖人無常心、以百姓心爲心。善者吾善之、不善者吾亦善之、德善。信者吾信之、不信者吾亦信之、德信。聖人在天下歙歙、爲天下渾其心。百姓皆注其耳目、聖人皆孩之。 2. 書き下し文 聖人は常の心無く、百姓(ひゃくせい... -
減らすことで極まる──“無為”の力が組織を動かす
『老子』第四十八章「知」 1. 原文 爲學日益、爲道日損。損之又損、以至於無爲。無爲而無不爲。取天下常以無事。及其有事、不足以取天下。 2. 書き下し文 学を為(な)せば日に益(ま)し、道を為せば日に損(そん)す。これを損し、また損し、以(もっ)... -
動かずして見極め、任せて成す──静かなる洞察が組織を導く
『老子』第四十七章「鑒」 1. 原文 不出戶、知天下。不闚牖、見天道。其出彌遠、其知彌少。是以聖人不行而知、不見而名、不為而成。 2. 書き下し文 戸(と)を出でずして天下を知り、牖(まど)を闚(うかが)わずして天道(てんどう)を見る。其の出づる... -
欲に溺れず、満足を知る──“足る”者が勝者となる
『老子』第四十六章「儉欲」 1. 原文 天下有道、却走馬以糞。天下無道、戎馬生於郊。罪莫大於可欲、禍莫大於不知足、咎莫大於欲得。故知足之足、常足矣。 2. 書き下し文 天下に道あれば、走馬(そうば)を却けて以て糞(ふん)す。天下に道無ければ、戎馬... -
静けさと余白が真の完成──見せない力が信頼を築く
『老子』第四十五章「洪德」 1. 原文 大成若缺、其用不弊。大盈若沖、其用不窮。大直若屈、大巧若拙、大辯若訥。躁勝寒、靜勝熱、清靜爲天下正。 2. 書き下し文 大成(たいせい)は欠くるがごとく、其の用は弊(つか)れず。大盈(たいえい)は沖(むな)... -
足るを知り、引き際を見極めよ──執着は損失、満足は安定
『老子』第四十四章「立戒」 1. 原文 名與身孰親?身與貨孰多?得與亡孰病?是故甚愛必大費、多藏必厚亡。知足不辱、知止不殆、可以長久。 2. 書き下し文 名(めい)と身(しん)と、孰(いず)れか親しき。身と貨(か)と、孰れか多き。得ると亡(うしな... -
柔は剛に勝る──言わずして導き、動かさずして育てる
『老子』第四十三章「徧用」 1. 原文 天下之至柔、馳騁天下之至堅。無有入無閒。吾是以知無爲之有益。不言之教、無爲之益、天下希及之。 2. 書き下し文 天下の至柔(しじゅう)は、天下の至堅(しけん)を馳騁(ちてい)す。無有(むゆう)は無間(むけん...