2025年– date –
-
首が落ちても誠を失うな ― 心が生きているかぎり、戦は終わらぬ
一、章句の要約と現代語訳(逐語) あらすじ 鍋島家の道白の息子・五郎兵衛が、遺恨のある浪人・岩村久内を道で見かけ、稲をぶつけて口論、堀に突き落として帰宅。 久内は兄・源右衛門を連れ、仕返しに五郎兵衛の家へ。 五郎兵衛は刀を構えて待ち伏せし、... -
死を選ぶ美談より、即断の誠こそが武士道
一、山本常朝の赤穂義士批判の要点 批判点内容❶ 仇討ちの遅延浅野内匠頭切腹から吉良上野介討伐まで1年9ヶ月もかかった。➡「もしその間に吉良が病死していたらどうするつもりだったのか」❷ 討ち果たしても即座に切腹しなかった泉岳寺で潔... -
死を忘れずに生きる者は、恥を知らぬ
一、物語の要約:死を問う女房、覚悟を促す 背景 高木某、近所の百姓三人との口論に敗れ、田の中で打ちひしがれ帰宅。 女房が静かに問う:「死ぬことをお忘れですか?」 高木は「忘れたことなどない」と答える。 女房はなお言う:「いずれ人は一度は死ぬも... -
命を燃やして誠を示す ― 仇討ち女房の魂
一、物語の要約:喧嘩と執念の果てに 背景 黒川小右衛門は扶持三石、慎ましく芦原に暮らしていた。 隣人の徳永三左衛門は有徳の者で、かつ借金の担保として蚊帳を預かっていた。 祭礼のため蚊帳を借りようとしたが、三左衛門に拒絶され、罵倒まで受ける。 ... -
絶体絶命からが真の勝負 ― 手を切られたら口でかみつけ
一、章句の原文と逐語訳 原文(聞書第七より) 大木前兵部勇気勧めの事丘ハ部組中参会の時、諸用済みてよりの話に、「若き衆は随分心掛け、勇気お嗜み候へ。勇気は心さへ付くれば成る事にて候。刀を打折れば手にて仕合ひ、手を切落さるれば肩節にて、ほぐ... -
死して悪鬼たらん ― 一念が命を超えるとき
一、章句の原文と現代語訳(逐語) 原文(聞書第二より) 出し抜きに首打落されても、一働きはしかと成るはずに候。義貞の最期証拠なり。心かひなく候て、そのまま打倒ると相見へ候。大野道賢が働きなどは近き事なり。これは何かする事と思ふぞ唯一念なる... -
戦う者は常軌を越える ― 気違いこそ覚悟の完成形
一、章句の原文と逐語訳 原文(聞書第二より) 恵芳和尚話に、安芸殿物語に、「武辺は気違いにならねばされぬものなり」と御申し候由。我等覚悟に合ひ候儀、不思議に存じ、その後いよいよ気違に極め候となり。 現代語訳(逐語) 恵芳和尚(高伝寺住職)の... -
知識に宿らぬ覚悟 ― ごまかしの賢さより、命がけの愚直さ
一、原文と逐語訳 原文 勘定者はすくたるる者なり。仔細は、勘定は損得の考へするものなれば、常に損得の心絶えぎるなり。死は損、生は得なれば、死ぬる事をすかぬ故、すくたるるものなり。また学問者はオ知・弁口にて、本体の臆病・欲心などを仕かくすも... -
無分別の胆力 ― 分別は決断を殺す毒である
一、章句の原文と現代語訳(逐語) 原文(聞書第十一) 安芸殿、子孫軍法承らざる様にと申され候事「戦場に臨みては、分別が出来て、何とも止められぬものなり。分別ありては突破る事ならず、無分別が虎口前の肝要なり。それに軍法などを聞込みて居たらば... -
狂わずして大業成らず ― 死狂ひにこそ忠も孝も宿る
一、章句の原文と現代語訳(逐語) 原文(『聞書第一』より) 「武士道は死狂ひなり、一人の殺害を数十人して仕かぬるもの」と直茂公仰せられ候。本気にては大業はならず、気違ひになりて死狂ひするまでなり。また武士道において分別出来れば、早後るるな...