2025年– date –
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人は備え、信は分かち合いに宿る
一、原文の引用と逐語訳 侍は人を持つに極り候。なにほど御用に立つべくと存じ候ても、一人武辺はされぬものなり。金銀は人に借りてもあるものなり、人は俄になきものなり。かねてよく、人を懇に扶持すべきなり。人を持つ事は、我が口に物を食ふてはならず... -
異なる力を束ねてこそ、真のリーダー
一、原文の引用と逐語訳 「光茂公のお側に召使はれ候様に」と候て御隠居の時、百武伊織・生野織部・岩村新右衛門、この三人遣はされ候。「伊織は物をよく言ひ砕く者なり。織部は情強く、雨露きらはず勤むる者なり。新右衛門は物に念を入れ、落ちもなく勤む... -
光を浴びすぎぬ才覚が、家を保つ
一、原文の引用と逐語訳 若殿様御器量に候へば、諸人褒め立て、お大名・お旗本もお褒め、お出入の衆中、殿へ追従にも褒め申し候故、多分、中隔り出来申し候。若殿は随分引取り、善悪の沙汰なき様に、入めなるが順熟にて、家長久の基に候事。 現代語訳(要... -
真に強き者は、怒りを超えて人を見る
一、原文の要点と現代語訳(逐語) 坊主の嘘に怒り、拷問を命じるように見えた直茂公だったが、実はその嘘を最初から見抜いていた。家臣・藤島生益は、主君にだまされたと感じて怒るが、主君はこう返す: 「その方は本当だと思ったから怒っているのだ。わ... -
報いを求めず、ただ尽くす。それが真の忠義
一、原文の引用と逐語訳 主君に忠節、朋輩に懇切など、不部にしてすれば、却って仇になることあり。この心を信玄の壁書に、『忠節述懐・述懐謀叛・謀叛没落』と書き記され候。御褒美これなき時、少しも恨み奉らず、いよいよ忠節を尽くすべし。頼母しをして... -
耳を閉ざせば、真実も去る
一、原文の引用と逐語訳 人の意見を申す時は、役に立たぬ事にても、恭しと深く請合ひ申すべきなり。左様に仕らず候へば、重ねて見付け聞付けたる事をもいはぬものなり。なにとぞ心安く意見をいひよき様に仕なして、人に云はするがよきなり。 現代語訳(逐... -
耳の痛い言葉こそ、魂を磨く砥石なり
一、原文の引用と逐語訳 世に教訓する人は多し、教訓を悦ぶ人は少し。まして教訓に従ふ人は稀なり。年三十も越えたる者は、教訓する人もなし。教訓の道ふさがりて、我がままなる故、一生非を重ね、愚を増して、すたるなり。道を知れる人には、なにとぞ馴れ... -
欠点を責めるな、徳を引き出せ
一、原文の要点抜粋と現代語訳(逐語) 他人のくせを直すのは、自分のくせを直すよりむずかしいものである。どんな相手でもいいかげんな付き合い方をせず、見知らぬ者からも慕われるように心がけよ。 意見は、相手の性質に応じた言い方で、相手の「好きな... -
聞かぬふりは、信と品のある叱責
一、原文の引用 野田七右衛門へ西日山心遣仰付け置かれ候処、自分に本を伐り売払ひ候由、御日付より言上仕り候。その後七右衛門、御前に罷出で候時分、潜かに仰聞けられ候は、「斯様の事を聞き候。其方は左様の儀仕るまじく候。いか様似たる事を人の沙汰致... -
一度の過ちを許せぬ者に、人は育てられぬ
一、原文の引用 何某立身御詮議の時、この前大酒仕り候事これあり、立身無用の由衆議一決の時、何某申され候は、「一度誤これありたる者をお捨てなされ候ては、人は出来申すまじく候。一度誤りたる者は、その誤を後悔致すべき故、随分嗜み候て御用に立ち申...