2025年– date –
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教えは、伝わらぬことを覚悟して伝えるべし
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第六) 相良市右衛門書置の奥書に、「右の通り申置き候ても、子々孫々に至り、相守り申すまじくと存じ候。その謂はれは、我等五歳の時より酒を好み、大酒仕り候に付、たびたび意見に会ひ申し候へども、終に... -
動いていても、心が眠れば人形同然
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第二より) 道すがら、何とよくからくつた人形ではなきや。糸を付けてもなきに、歩いたり、飛んだり、はねたり、物まで言ふは上手の細工なり。来年の盆には客にぞなるべき。さても、あだな世界かな、忘れて... -
死を見つめて、生を仕舞え
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第二より) 貴となく賤となく、老となく少となく、悟りても死に、迷ひても死に、さても死ぬ事かな。我人、死ぬと云ふ事知らぬではなし。ここに奥の手あり。死ぬと知つては居るが、皆人死に果ててから、我は... -
夢に溺れず、夢から覚めよ
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第二より) 夢の世とは、よき見立なり。悪夢など見たる時、早く覚めよかしと思ひ、夢にてあれかしなどと思ふ事あり。今日もそれに少しも違はぬなりと。 現代語訳(逐語) 「この世は夢」という見立ては、実... -
迷うなら斬れ、曖昧は命を曇らす
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第一より) 志田吉之助、生きても死にてものこらぬ事ならば、生きたがましと申し候。志田は曲者にて、戯れに申したる事にて候を、生立者ども聞き誤り、武士の疵に成る事を申すべくやと存じ候。この追句に、... -
遅きに実あり、志に強さあり
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第一より) 若き内に立身して御用に立つは、のうぢなきものなり。五十ばかりより、そろそろ仕上げたるがよきなり。その内は諸人の目に立身遅きと思ふほどなるが、のうぢあるなり。また身上崩しても、志ある... -
晩成にして、大器たり
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第一より) 大器は晩成といふ事あり。二十年三十年して仕果する事にならでは、大功はなきものなり。奉公も急ぐ心ある時、我が役の外に推参し、若巧者といはれ、乗気さし、がさつに見え、出来したて功者振り... -
越されて揺るるな、黙して立て
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第二より) 謂はれ無く朋輩に席を越され、居肩下りたる時、少しも心にかけず、奉公する人あり。またそれを腑甲斐なきと云ひて愚意を申し、引取などするもあり。いかがと申し候へば、それは時により事による... -
志の果てに、無を知る
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文抄(聞書第六より) 鍋島舎人助草履取十四歳になり候が、諫早家へお供致し…石見殿中間を斬殺し候仕方よく候故、お助けなされ候。…いざ天下を取るべしと思立ち、夜昼工夫し篤と手に入り候。…しかと手に入り候へども、... -
攻めの四十、引きの五十
一、原文の引用と現代語訳(逐語) 原文(聞書第一より) 四十より内は強みたるがよし。五十に及ぶ頃より、おとなしく成りたるが相応なり。 現代語訳(逐語) 四十歳未満のうちは、勢いよく、気力にあふれた行動が望ましい。 五十歳に近づく頃からは、穏や...