2025年– date –
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別れに言葉は要らず、忠は行動で示す
一、原文(抄) 御薬役来女相勤め、御臨終の時お薬道具打砕き、御印役喜左衛門光茂公御前にて御印を打割り申し候。両人にてお行水相仕舞ひお棺に入れ奉り、差俯向き泣入り罷在り候。ふと起上り、「殿は一人お越なされ候に、一刻も追付き申すべし」と…「さ... -
義の契りは、命をもって守る
一、原文引用(抄) 中野杢之助(年寄役)去年御参観の御道中にて、ある者説言致し、首尾悪しく、お目通リヘ召出されず候。御機嫌御勝れなされざるに付て、鍋島来女申上げ候は、「自然御本復遊ばされざる節は、杢之助・志波喜左衛門・某三人はお供仕るはず... -
忠誠は、怒りにまさるかを問え
一、原文引用(抄) 横尾内蔵之丞無双の槍突にて、直茂公、別けてお懇に召使はれ候。月堂様へお話にも、「内蔵之丞が若盛りにて、虎日前の槍を其方などに見せたき事なり。誠に見物事にてありし」と御褒美遊ばさるる程の者なり。内蔵之丞もお懇かたじけなく... -
忠は先駆けて命を賭す
一、原文引用(抄) 勝茂公御病気差重られ候時分、光茂公へ志波喜左衛門申上げ候は、「私儀はかねて御供のお約束申上げ候。御本復不定にお見え遊ばされ候間、御命代りにお先に腹を仕り、自然御本復の儀も御座あるべく候やと存じ奉り候。いづれ御供仕る儀に... -
一つの枕に死すという約束
一、原文引用(抄) 安芸殿死去の時、組家中十八人、内組衆二人追腹仕り候に付て、御家老衆より、殿様を差置き、寄親の供仕る事然るべからざるの由、しきりに差留められ候。組中の者申し候は、「先年人院一戦の時、主水殿組の内選び取りと候に付て、我々を... -
召されただけで、すでに命を捧ぐ
一、原文引用(抄) 肥前様追腹。林形左衛門は肥前様(忠直)ご存命のうち、お側に適任者がいないとのことで御所望があり、江戸屋敷に罷り登る支度をしていた。 その最中に、御死去の報が届いた。一日も仕えることはなかったが、数百人の家中からとくに望... -
忠義は、生死を超えて誓うもの
一、原文引用(抄) 勝茂公が江戸で逝去されたとの報せが届いた。軽輩の大島外記は、畑で作業中に妻からその知らせを受けた。 「行水を沸かせ、帷子を出せ。わしは追腹を切るぞ」 家人たちは、身分不相応だと止めるが、外記はこう語る: 「かつて西日での... -
斬る覚悟と、斬られる覚悟は紙一重に在り
一、原文引用(抄) 相浦源左衛門の組の者が不届きの罪により放討を命じられた。ところが家老は、その放討命令書を当の本人に持たせて、源左衛門のもとへ届けさせた。 源左衛門は書面を開いてこう告げる:「その方を討てと命ぜられている。東の土手で、運... -
任務を果たし、誇りを遺す。志は血を越える
一、原文引用(抄) 縫殿助組内の石井与左衛門に奸謀ありとのことで、組頭・石井縫殿助が「放討」(討手による処刑)を命じられた。密かに家来1名(伊東彦右衛門)を連れて本人宅へ向かい、夜討ちを決行。火鉢を倒して暗闇になり、家来が誤って縫殿助の腰... -
潔さの奥にある、親の極意
一、原文の引用(抄) 森門兵衛の嫡子が喧嘩で手負いとなって帰ってきた。門兵衛が「相手をどうしたか」と問うと、「切り伏せました」と答えた。「止めはさしたか」と問えば、「いかにも」と答える。 そこで門兵衛は言った:「よくやった。であれば、思い...