2025年– date –
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主を想う心にこそ、真の忠義が宿る
一、章句(原文) 若年の時分より、一人被官は我等なりと思ひ込み候一念にて、仏神のお知らせかと存じ候。…差出でたる奉公仕りたる事もなく、何の徳もなく候へども、その時は兼て見はめの通り、我等一人にて御外聞は取り候と存じ候。大名の御死去に御供仕... -
志を貫く者は、自らを制する力を持つ
一、章句(原文) 七年不姪したるが、病気終に発らず、今迄存命仕り候。薬飲みたる事なし。また小煩ひなどは、気情にて押したくり候。今時の人、生付弱く候処に、姪事を過す故、皆若死をすると見えたり。たはけたる事なり。 二、現代語訳(逐語) 病気にな... -
若き志は声に出してこそ、真となる
一、章句(原文) お側長崎お仕組に、一とせ二番立に割付け、御帳出来候を見候に付て、役人へ申し候は、「陣立の時分、殿の御供仕らざる儀、拙者は罷成らず候。弓矢八幡、触状帳面に判仕らず候間、左様に心得申さるべく候。これは書物役仕る故にて候はんと... -
省みる者こそ、日々を深める
一、章句(原文) 若き時分、残念記と名づけて、その日その日の誤を書付けて見たるに、二十、三十なき日はなし。果てもなく候故止めたり。今にも一日の事を寝てから案じて見れば、云ひそこなひ、仕そこなひのなき日はなし。さても成らぬものなり。利発任せ... -
誉れは覚悟に宿る、若き日の一太刀
一、章句(原文) 沢辺平左衛門を介錯いたし候時分、中野数馬江戸より褒美状遣はし、「一門の外聞を取り候」と、事々しき書面にて候。介錯の分にて、斯様に申越され候事余りなる事と、その時分は存じ候へども、その後よくよく案じ候へば、老功の仕事と存じ... -
志をもって、天下に恥じぬ者たれ
一、章句(原文) 一鼎に逢ふて、「お家などの崩るると云ふ事は末代までこれなく候。仔細は、生々世々、御家中に生れ出で、お家は我一人して抱留め申す」と申し候へば、「大胆なる事を申す」と笑ひ申され候。二十四五の時の事なり。卓本和尚に一鼎申され候... -
鍛練は日常にあり、志は習慣から生まれる
一、章句(原文) 前神右衛門申付けにて、幼稚の時分、市風に吹かせ、人馴れ申すためとて、唐人町出橋に、節々遣はし候由。五歳より各々様方へ名代に出し申し候。七歳より、がんぢうのためとて、武者草軽をふませ、先祖の寺参り仕らせ候由。(聞書第二) ... -
志は乳とともに育てよ
一、章句(原文) 山本前神右衛門は、一門の子供、当歳子にても耳に口を寄せ、「大曲者になりて殿の御用に立ち候へ」と申し候。「未だ聞分けぬ時より、耳に吹込みたるがよし」と申され候由。(聞書第六) 二、現代語訳(逐語) 私の父・山本神右衛門は、一... -
忠誠とは、命を捨てることにあらず、理に従う勇気なり
一、原文抄出 盛徳院殿死去の時、追腹人光茂公差留められ候。御使、彼の屋敷に参り申渡し候へども、とかくお請申上ぐる者これなく候。その中に石丸采女(後名清左衛門)末座より申し候は、「若輩者の推参に候へども、御意の趣ごもつともに存じ奉り候。私儀... -
忠義は命にあらず、志にて尽くすべし
一、原文抄出 七月七日 盛徳院殿死去、追腹の者差留められ候以来、御法度に仰付られ候。その後紀州光貞卿御感心、御家中追腹法度成され候。寛文三年癸卯五月二十日公儀御法度に成り候なり。『鍋島光茂年譜』寛文元年(一六六一)項記載 二、書き下し文(...