2025年5月– date –
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第四章 行幸はやめるべし
第四章「行幸はやめるべし」は、統治者の私的欲望と公共的責任のせめぎ合いをテーマとした逸話です。ここでは、天子の権威と贅沢、そして進言の意義が短いながらも濃密に描かれています。 要点と要約 背景 貞観七年(633年)、太宗は避暑地である九成宮へ... -
第三章 馬飼いの処罰か、国の威信か
章の要点と要約 背景と経緯 太宗が特に寵愛していた一頭の名馬が、病気もないまま急死してしまった。怒りに駆られた太宗は、その飼育係を処刑しようとします。 そこに登場するのが、長孫皇后です。彼女は諫めの言葉として、**『晏子春秋』**に見える斉の景... -
章の要点と要約
背景 貞観四年(630年)、太宗は洛陽巡幸を計画し、その準備として乾元殿の修理を命じました。しかし、給事中(政治監督役)の**張玄素(ちょう げんそ)**がこれを聞いて、詳細な上奏文で強く諫めます。 張玄素の五つの諫言 張玄素は、現状と過去の史例を... -
第一章要約:「他人の妻を奪うこと」
背景と場面 貞観年間初期、太宗が王珪と談話している最中、宮中に仕える美人が側に控えていました。彼女は、太宗の一族である廬江王李瑗(りえん)の妻でしたが、李瑗が謀反を起こして敗北したため、その妻が没収され宮中に入っていたのです。 太宗は李瑗... -
第十一章 最初の兆しを諫める
この章では、太宗が諫議大夫の褚遂良に問うかたちで、「贅沢や過ちの“はじまり”をどう扱うべきか」という非常に現代的なテーマを論じています。些細な兆候でも見逃さず、国家の安寧を守ろうとする強いリーダーシップと謙虚さが表れています。 1. 舜と... -
第十章 魏徴の正諫は明鏡のごとし
この章では、太宗が自らの政治姿勢と魏徴の進言について語った言葉が中心です。特に、「自分を知ることの難しさ」と、「魏徴の進言が自分を映す明鏡のようである」という比喩が印象的です。リーダーにとっての自己認識の難しさと、進言を受け入れる度量の... -
第九章 人の才覚はそれぞれ異なる
この章では、「なぜ官僚たちは諫言しないのか?」という太宗の率直な問いかけに対し、魏徴が実に洞察に満ちた回答を行い、太宗が深く理解を示す様子が描かれます。これは進言文化の難しさと、それを乗り越えるためのリーダーシップのあり方に関する非常に... -
第八章 このごろの臣下はビビッている
この章では、君主が臣下にどう向き合うべきか、諫言を促すための心構えとは何かを、太宗が深く自省的に語っています。タイトルにもあるように、臣下たちが皇帝の前で萎縮している様子を見て、太宗は深い懸念を抱いているのです。 1. 太宗の「静坐内省」 章... -
第七章 斉の管仲と晋の勃鞮の故事
この章では、忠誠と信義、過去の怨恨を越えた用人の道を主題に、太宗が臣下・韋挺の諫言を称えた書簡が紹介されます。太宗は、韋挺の諫言を受け入れるにあたり、中国古代の名君・名臣の逸話を引いて説得力を持たせ、自身の政治理念を語るという高い政治的... -
第六章 逆鱗に触れるを厭わず
この章では、太宗が忠臣の「諫言(かんげん)」こそ国家安泰の礎であると評価し、それを恐れず実行した臣下たちに心からの感謝と報奨を与えた姿が描かれています。主題は、「逆鱗に触れることを厭わない勇気」と、それを受け止める君主の度量です。 「逆鱗...