2025年5月– date –
-
真の敬意とは、信念に裏打ちされた言動にあらわれる
景子は孟子に対して、「君臣の礼においては“敬”が要である。王が先生を敬っているのは見たが、先生が王を敬している様子は見えない」と問いかける。 それに対し孟子は、即座に鋭く返す。「それはとんでもないことを言われた。斉の人々は、仁義の道をもって... -
形式ではなく、筋を通すために「意地」を張るときもある
孟子が王からの招きに仮病を使って断った翌日、今度は弔問に出かけようとする。弟子の公孫丑が「昨日は病を理由に朝廷を断ったのに、今日外出するのはまずいのでは」と心配するが、孟子は毅然とこう答える。「昨日は本当に病んでいた。今日は回復した。だ... -
状況に応じて、礼を守るためにあえて仮病を使うこともある
「誠を欠いた迎えに、信は生まれない──敬意ある姿勢が真の関係を築く」 孟子が斉の王に拝謁しようとしたとき、王の使者がやって来てこう伝えた。「本来なら私のほうから出向いて会うべきですが、風邪をひいてしまい風に当たるのはよくありません。そちらが... -
道を貫く者には人が集まり、信を失った者は孤立する
「人の心を得る者、天下を得る──正しさは最強の競争力」 孟子は、国を強くするために頼るべきは、険しい山や堅固な城ではなく、人々の心を得る「仁義の道」であると説いた。 力や兵器による威圧では、真の支配は成り立たない。信義をもって治める者は自然... -
有利な時期や地の利よりも、人の心がひとつになる力が勝る
孟子は、戦いや国家運営において最も大切なものは「人の和」、すなわち人々が心を一つにして団結していることだと説く。確かに、四季や天候、昼夜といった「天の時」が良いに越したことはなく、地形や城の堅牢さなどの「地の利」も重要だ。しかし、そうし... -
君子の道は「潔癖すぎず、放縦すぎず」
「正しすぎるな、緩すぎるな──中庸こそ、君子の道」 ― 片方に傾きすぎず、徳の調和を目指せ ― 孟子はここで、**“二人の聖人”の長所と短所”**を並べて、君子のあり方を述べます。 伯夷 ― 清廉すぎて、度量に欠ける 「伯夷は“隘(あい)なり”」 「隘」とは、... -
「汝は汝、我は我」
― 他人に流されず、されど他人を責めず ― 孟子は、柳下恵(りゅうかけい)という人物を高く評価し、その態度を**「真の君子」**として語ります。 1. 誰であっても「仕えるに値するところがあれば仕える」 柳下恵は、道義に背くことなく、次のような姿勢を... -
人との関わりは、徳をもって選べ
礼装で泥に座るな──志を汚さぬ“選別力” ― 仕えるにも、交わるにも、道義に外れた相手ではならぬ ― 孟子は、伯夷という古代の聖人を例に挙げ、その徹底した道義的選択の姿勢をこう紹介します。 伯夷の四つの姿勢 正しき君でなければ仕えず → ただ地位や権... -
善を共にすること、これ君子の最上の道
「我を捨て、善を取る──共に学び、共に創る君子の道」 ― 自分の善に固執せず、他人の善を取り入れてともに進め ― 孟子は、歴代の賢者たちの「善の受容と実行」の姿勢を例に挙げて、こう語り始めます。 子路 ― 過ちを指摘されて喜ぶ人 「子路は、他人から自... -
他人を責めず、己に返れ
― 的を外しても、怨むべきは人ではなく、自分の備えである ― 孟子は語る。 「仁者の態度は、弓を射る者のようである」 古代中国において、「射(しゃ)」は単なる武芸ではなく、人格修養の手段とされていた。仁者とは、この「射」の姿勢そのものを生き方と...