2025年5月– date –
-
成敗を超えて、誠と道理に生きる
人生において成功や失敗を問うことは、しばしば重きを置かれるが、真に大切なことは、その成敗の是非善悪を論じ立てることではない。何よりもまず、誠実に、懸命に、自分の務めに尽くすことである。その姿勢があってこそ、公平無私なる天は、その人に応じ... -
独立独歩と細心大胆の道
潑溂(はつらつ)たる進取の気力を養い、それを世に発揮するためには、まずもって人に依らず、流れに流されず、真に独立独歩の人とならねばならぬ。他に寄りかからず、己の信念と判断とを以て歩む者にこそ、新しきを拓き、大ききを成す気力が備わる。しか... -
逆境を言い訳とするなかれ
世人の多くは、環境の不遇や時勢の悪さを逆境と呼び、それを運命のせいにしがちである。そして、自らの智能の不足や、努力の怠慢を顧みることなく、あたかも外的要因がすべてであるかのように語る――これは実に愚の極みである。逆境とは、決して偶然に降り... -
人事を尽くして天命を待つ
「人事を尽くして天命を待つ」とは、ただ漫然と天に運を委ねる言葉にあらず。この語の真正の意義は、まず己のなし得るすべてを誠実に、徹底して尽くしきることにある。知恵を絞り、力を振り絞り、怠らず、逃げず、心を込めて最善を尽くす。その上でなお結... -
忠恕をもって道を歩む
忠恕――それは人が歩むべき道の根幹にして、立身の基礎である。忠とは己に誠を尽くすこと、恕とは他を思いやること。この二つを備え、行動に反映させる者こそが、真に信を得、人の和を得、機会に恵まれる。忠恕の道に立つ者は、他を欺かず、己を偽らず、正... -
運を開くは己の努力にあり
人生において「運」というものが大きな影響を持つことは、否定し得ない。されど、その運は天より降るものにあらず、待って訪れるものでもない。運とは、己の努力によって呼び寄せ、切り拓き、築き上げていくものである。日々を誠実に積み重ね、機を逃さぬ... -
孝の本質は自然にあり
孝とは、親に尽くすことを意味するが、それは決して形ばかりの行為や、力に任せた無理な尽力を指すものではない。その大本にあるものは、自然体で思いを寄せる心にほかならず、過度な義務感でも、外面を繕うでもなく、素直なる情の発露にある。強いて背伸... -
智と徳を併せ持つ実業教育
実業教育においては、単に知識や技能を授けることのみに偏してはならない。智育をもって現実に対応する力を養い、徳育をもってその力を正しく使う心を育むことこそが、教育の真の目的である。智ある者が徳を欠けば、利己に走り、社会を害する危険を伴う。... -
母性と教育の根源力
善良なる婦人の腹から、善良なる子供が生まれる。それは単に血を分けるという意味にとどまらず、母の心・母の品性が、そのまま子の魂を育むからである。また、優れた婦人がその知性と情愛をもって教育にあたれば、そこから優れた人材が育つ。人間形成の基... -
青年の修養と心の学問
青年は、人格を形づくる最も大切な時期にある。この時期にこそ、優れた師と出会い、己の品性を陶冶し、心を磨かねばならぬ。学問とは、単に知識を得るための手段ではなく、むしろ己を正しく導き、世の中に資する人物となるための器をつくるものである。古...