2025年5月– date –
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人は節目を重ねて、自在へと近づく
人の成熟には段階がある。 若くして志を立て、三十にして土台を築き、四十で迷いが消える。そして五十にして、自分の道が「天命」であったと気づくようになる。六十になれば人の言葉に柔らかく耳を傾け、七十に至っては、自分の望みに従って行動しても、節... -
刑ではなく、徳で導く ― 恥を知ってこそ、秩序が生まれる
「人は罰より徳で動く──恥を知る文化が組織を正す」 人々を統治する際に、法律や刑罰のみを用いるならば、民はただ罰を逃れることだけを考え、自らを恥じる心を失っていく。 しかし、徳をもって導き、礼をもって正す社会であれば、人々の内には自然と廉恥... -
心にまっすぐであれ ― 思無邪
「誠のない表現は伝わらず──信頼は“心の真っ直ぐさ”から始まる」 古典の詩経には、三百篇におよぶ詩が収められている。 だがその本質は、たったひと言に集約される――「思いに邪(よこしま)なし」。 言葉や行動にどれほど巧妙さや技巧があっても、そこに私... -
徳ある者が頂に立てば、自然と全体が整う
「動かずして人を動かす──徳が導く静かなリーダーシップ」 組織を導く者に最も求められるのは、徳の力である。 人を無理に動かそうとせずとも、自らの人格に厚みがあれば、周囲は自然と従い、秩序が保たれていく。 それはまるで、動かぬ北極星のまわりをす... -
認められることを求めず、まずは人を見る目を養え
人が自分を評価してくれないことに悩んでも、何も始まらない。大切なのは、他人の目ではなく、自分が何を見て、どう成長しようとしているかである。むしろ心を向けるべきは、自分が他人を正しく理解しようとしているかどうか。他人の価値や長所を見抜く力... -
境遇に惑わされず、道を楽しみ、礼を好む
貧しくとも人に媚びず、富んでも傲らない――それは立派な生き方である。だが、さらに優れているのは、貧しさの中にも楽しみを見いだし、富を得ても礼を忘れず、どのような境遇にあっても己の道を正しく貫くことができる人物である。それはまさに、詩経にい... -
慎ましさと実行力が、学ぶ者の器をつくる
高い志を抱いて学ぶ者が、うまい食事や快適な住まいばかりを求めていては、器の小ささが露呈する。 本当に成長を望むなら、まず行動に敏く(すばやく)、言葉には慎重であるべきだ。 そして、もし尊敬に値する人物に出会えたなら、その教えを受け、誤りが... -
約束は義に従い、敬意は礼に従ってこそ価値がある
人との約束ごとは、まず道理にかなっているかを見極めることが大切である。ただ盲目的に約束を守るのではなく、それが義に近いならばこそ、言葉を守るに値する。また、人とのつき合いにおいて敬意を払うのは良いことだが、それも礼にかなってこそ意味を持... -
和を尊び、礼で節する ― 親しき仲にもけじめあり
人と人との関係において最も大切なのは、和やかで調和の取れたあり方である。しかし、ただ仲良くすることが目的ではない。 そこにけじめとしての「礼」がなければ、和はすぐに崩れ、秩序は保てない。 古の聖王たちが偉大であったのも、和を尊びながら、そ... -
継承とは、すぐに変えず、深く理解すること──志と行動にこそ本質が宿る
父が生きている間は、その志や価値観をよく観察し、理解し、支えるよう努めることが大切である。 父が亡くなった後には、その生前の行いを深く見つめ直し、受け継ぎ、育てていく姿勢が求められる。 とくに、父の死後三年間は、そのやり方を変えずに守るべ...