2025年5月– date –
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敬意なくして、人は徳を積めない
畏れ、敬う心は、君子の根本である。孔子は、真に立派な人間――「君子」は、次の三つのものに対して畏れ敬う姿勢を持つと説いた。 ひとつは、天命(てんめい)――天が人に授けた使命や自然の摂理に対する畏れ。ひとつは、大人(たいじん)――年長で徳を備えた... -
年齢によって、戒めるべき欲望は変わる
人は誰しも年を重ね、心も体も変わっていく。孔子は、人生の三つの段階に応じて、それぞれにふさわしい「自戒の対象」があると説いた。 若いときは、心が定まらず、感情に流されやすい。だからこそ、「色欲」を慎むべきである。働き盛りの壮年期は、力がみ... -
目上の人と話す時こそ、言葉に慎みを
対話の礼節を欠けば、思慮も見識も疑われる。孔子は、目上の人と向き合う際に犯しやすい「三つの過ち」を明示した。 ひとつは、相手がまだ話題にしていないのに、先回りして話し出してしまうこと。これは“躁(そう)”――出過ぎた態度だ。ひとつは、話しかけ... -
何を楽しむかで、その人の未来が決まる
楽しみには、人生を豊かにするものと、堕落させるものがある。孔子は、人生を正しく導く「三つの楽しみ」と、自らを損なう「三つの楽しみ」を明確に示した。 礼や音楽の節度ある実践に喜びを見出すこと。人の善を語り合い、賢い友を多く持つこと。こうした... -
友を選ぶことは、自分の人生を選ぶこと
どんな人を友とするか――それは、どんな自分になっていくかを決めることである。 孔子は、友人には「自分に益をもたらす者」と「自分を損なう者」があると断言した。正直な人、誠実な人、知識のある人と親しくすれば、自分もその影響を受けて成長できる。反... -
権力の筋を外せば、いずれ衰える
孔子は、歴史の流れと政治の法則を見抜いていた。魯国の本来の統治者である「公室」が、その権限を手放して五代。政治の実権が本来の中心から大夫へと移って四代。この筋を外れた変化の積み重ねが、やがて三桓(さんかん)――有力な三家の一族の衰退につな... -
政(まつりごと)の筋を正さねば、国は乱れる
孔子は、政治の正統性がどこから発するかに厳しい目を向けた。本来、礼(れい)や楽(がく)といった文化政策、また征伐(せいばつ)のような軍事行動は、天下の中心である天子(てんし)――つまり最上位の統治者から始まるべきだと説いた。 しかし世が乱れ... -
職務に全力を尽くし、余計な言い訳はやめよう
言い訳よりも行動。君子たる者は、責任を果たさずに言い訳をすることを恥とする。国や組織が揺らいでいるときこそ、力を尽くして支える姿勢が求められる。 魯の有力者・季氏が属国の顓臾を攻めようとしたとき、孔子は家臣の冉有と子路に厳しく問うた。「攻... -
身体の不自由な人への心くばりがそのまま作法となる
—— 思いやりから生まれる行動こそが、真の礼である ある日、**目の不自由な音楽師・冕(べん)**が孔子を訪ねてきた。孔子は自ら出迎え、階段に差しかかると「階段です」、席に着くときには「ここが席です」と優しく声をかけた。さらに、同席した弟子たち... -
相手によく理解できない言葉や文章はよくない
—— 言葉は、通じてこそ価値がある 孔子は、言葉や文章の本来の役割について簡潔に、しかし本質的に語りました。 「辞(ことば)とは、相手に“達する”ためのものである。それだけで十分だ。つまり、伝わることこそが言葉の使命であり、美辞麗句や技巧ではな...