2025年5月– date –
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静寂の中でこそ、本当の自分に出会える
夜が更け、あたりが静まりかえるとき――独り坐り、心の奥を見つめれば、雑念や妄想が次第に薄れ、本来の純粋で澄んだ心が静かにあらわれてくる。この沈思黙考の時間の中で、自在な心の働きの可能性に気づき、同時に、邪念を完全には消せない自分にも気づか... -
静かに備え、静かに動く ― 平常心こそ最上の生き方
天地は静かに見えて、その内では陰陽の気が絶え間なく働いている。日と月は昼夜を問わず休まず進みながらも、その動きは常に正確で明らかだ。これに倣い、君子は平穏なときにも心を引き締めて油断せず、多忙や混乱の中にあっても、慌てず騒がず、ゆったり... -
本物は淡く、目立たず、しかし深い
濃い味の料理は、素材をごまかしてしまい、真の味とは言えない。本当にうまい料理は、むしろ淡く、素材の持ち味を活かしたものだ。人もまた同じで、本物の人物は目立つでもなく、奇抜でもなく、あくまでも自然で、平凡な姿をしている。見た目や才能の派手... -
喜びのない一日は、自然にも人にもあってはならない
嵐の中では、鳥でさえ怯えて縮こまっている。晴れた日、やさしい風が吹けば、草木も生命力にあふれて喜びに満ちている。このように、天地自然のあいだにも、常に「和らぎ」が必要なのと同じように、人の心にも、毎日欠かさず「喜び」と「楽しさ」が宿って... -
苦言と苦難こそ、徳を磨く砥石
人は日々、耳に痛い忠告や、心にひっかかる出来事によって、徳を磨き、成長する。これらは人生における「砥石」であり、自分を研ぎ澄ます機会である。反対に、褒め言葉ばかりを浴び、何もかも思い通りに進んでいる状態は、猛毒の中に身を置くようなもの。... -
誘惑にも染まらず、策にも頼らない ― 本当の高潔さとは
権力や富、美しさや華やかさに近づかない人は、清らかで立派だ。だが、それ以上に清いのは、それらに近づいても染まらず、自分を貫く人である。また、策略や打算を知らない人は高尚であるが、それらを理解したうえで、なお使わない人こそ、真に崇高だとい... -
心は開き、才能は隠しておくのが君子の品格
君子たる者の心は、青空のように澄みきっており、誰が見てもその誠実さがわかるもの。だが、自らの才能や才覚は、人にひけらかすものではない。宝玉を布に包み、箱にしまっておくように、才華はむしろ目立たぬように秘めておくべきだ。心は透明に、才能は... -
世渡り上手より、愚直な人であれ
世の中の経験が浅い人は、世俗の汚れにもあまり染まらない。一方で、経験を重ねるほどに、世の仕組みや計略に深く巻き込まれてしまう。だからこそ、君子は器用に立ち回るより、愚直であるほうが尊い。細かな常識や礼儀にこだわるより、少し世間知らずで自... -
正しい生き方は、永遠の価値をもたらす
どれほど時代に翻弄されても、正しい道を守る人の生き方は、決して朽ちない価値を持つ。一方、一時の安楽や権力者への迎合は、かえって永遠の孤独と後悔を招く。真に賢い人は、今この瞬間の利益に目を奪われず、生きた証が未来に残るかを思い、たとえ孤独... -
真の君子に必要な「三つの知」
孔子は、立派な人物(君子)として生きるために不可欠な三つの知識を挙げている。それは、「天命(てんめい)」「礼(れい)」「言(げん)」である。 天命とは、人としての天から与えられた使命や、生きる上での不可避の流れを理解すること。それを知らな...