2025年5月– date –
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欲望の一歩は崖、信念の一歩は道を遠ざける
人の欲望を満たす道は、手軽で楽に見えるが、「ほんの少しだけ」と軽い気持ちで手を出してしまうと、その一歩がやがて際限ない深みに変わり、ついには身を持ち崩し、奈落の底まで落ちてしまう。 一方、自分の信じる「道理にかなった生き方」は、たしかに険... -
若者の交友は、その一生を左右する
若者を育て導くことは、ちょうど箱入り娘を大切に育てるようなものである。日々の出入りをしっかり見守り、誰と交友を持つかに細心の注意を払う必要がある。もしこの配慮を怠り、一度でもふさわしくない人物と深く関わってしまったなら、それは、清らかな... -
最大の敵は他人ではなく、自分の心である
私たちの心には、常に魔のように誘惑し、乱そうとする存在がある。その魔を打ち倒したいなら、まずは外の何者でもなく、自分自身の心を制することが肝要である。心が服する――すなわち自己の内面が静まり、納得し、落ち着いたとき、外からのあらゆる悪意や... -
利口より、素朴に。飾りより、気骨を。
人に利口に見られようと、あれこれ小賢しく立ち回るよりも、素朴で実直な姿勢を貫いて生きるほうが、はるかにすがすがしく価値がある。私たち一人ひとりの中には、天地のもとから授かった「正気(せいき)」――すなわち根源的な命の力が宿っている。その正... -
相手が誰であれ、自分の品位と軸を失わない
つまらない人(小人)と接する際には、その無礼や理不尽に対して厳しく接することはたやすい。しかし、相手の言動を非難する一方で、その人間そのものまで憎まないようにするのは難しい。また、偉い人(君子)に対しては、自然とへりくだる態度になるのは... -
一歩退くことで、道はひらける
人の心はうつろいやすく、人生の道は平坦ではない。世間の航路には曲がりくねった険しさがあり、必ずしもすんなり通れるとは限らない。そうした「通れない」場面に出会ったときには、無理に突き進もうとせず、自分の方から一歩退き、相手に道を譲ることを... -
自分の考えを絶対視する心こそ、成長を阻む最大の障害
欲や利益を求める心があるからといって、それだけですべてが台無しになるとは限らない。また、美しい音楽や魅力的な異性を求める心も、必ずしも道(正しい生き方)を妨げるものではない。しかし、自分の意見が常に正しいと思い込み、他の考えを受け入れず... -
名誉や善をも超えて、自由な境地に至る
功績を立てたい、名声を得たい、富や地位を手に入れたい――こうした欲を手放すことができれば、すでに世俗的な生き方からは一歩抜け出したといえる。しかし、さらにその上を目指すならば、道徳や仁義といった「善」にとらわれる心さえも静かに手放し、すべ... -
低い場所に身を置くことで、真実が見えてくる
高い地位にあるときは、その危うさに気づけない。しかし、一度そこから離れて低い場所に身を置いてみると、上に登ることがいかに危険で重圧を伴うものかが、はっきりとわかってくる。また、人目の届かぬ静かな暮らしを送ってみると、世間で自己をひけらか... -
豊かさや才能があっても、心が伴わなければ必ずつまずく
裕福で高い地位にある者は、本来ならば心に余裕があり、寛大で温かいはずである。しかし実際には、そうした立場の人ほど疑り深く、冷酷で苛烈な態度をとることがある。これは物質的には豊かでも、心のあり方や行いが貧しいことの現れであり、そのような精...