2024年– date –
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部門別損益計算というが
第4表の例題をもとに説明する。本社工場と分工場を有するある会社について、X期とY期の損益計算を比較したものだ。この計算は、企業会計原則に忠実に基づいて行われている。 この表では、製造原価が変動費と固定費に分けられている。変動費は原材料費に加... -
商品別の収益比較はできるか
原価計算の方法と限界 商品の一個あたりの利益がどれくらいかは、多くの経営者が最も関心を寄せるテーマの一つだ。そのため、商品ごとに原価を算出し、売価との差を計算するという手法が用いられる。 ところで、この方法で本当に一個あたりの利益を正確に... -
変るものと変らぬもの
これまで、固定費の割掛けがどのような影響を及ぼすのか、さまざまな例を使って説明してきた。繰り返し述べてきたように、固定費は経営全体の費用として、期間に応じて一定に発生するものだ。どのような商品を生産しても、設備が変わらない限り、減価償却... -
新しい仕事は引合うかどうか
F社はT社の下請けとして取引を続けていた。しかし、ある年にT社の事情で仕事量が大幅に削減され、A商品のみを扱う形となった。その結果、F社は赤字に転落する事態に陥った。当時の損益計算書の状況は〈第10表〉に示されている。 F社は、大幅に余剰となった... -
外注は高いか安いか
製造業において、内製と外注の選択は重要なテーマだ。よく耳にするのは「外注の方がコストを抑えられる」という意見だ。その背景には、「外注先の人件費が低く、管理費などの諸経費も自社と比較してはるかに安い」という考えがある。 しかし、「外注のほう... -
損益計算書は信用できるか
例を使って説明しよう。第16表は、ある製造業の会社がX月とY月に作成した損益計算書を示している。商品価格は1台あたり2万5千円、変動費は1台あたり1万円であり、1か月の固定費は120万円となっている。営業状況を見てみると、X月には100台を製造したが、販... -
会社の中にある陥し穴
固定費の割掛けが引き起こすさまざまな問題について触れてきたが、それでもまだ尽きることはない。 ◎工数削減によるコスト削減額 R社を訪問した際、工場長から紹介されたのが、いわゆるMAPI方式だった。これは、設備更新計画として知られ、設備投資の効率... -
百害あって一利ない全部原価
これまで延々と全部原価の棚卸しについて述べてきたが、洞察力のある読者であれば、全部原価ではどのような計算を行ったとしても、実際に前向きに活用しようとすると必ず誤りが生じることに気づいただろう。 全部原価とは、結局のところ「過去計算」にすぎ... -
直接原価計算(ダイレクト・コスティングーDirect Costing)
事業経営において重要な会計資料の基盤となるのが、いわゆる直接原価計算である。この方法が考案された背景については、全部原価の矛盾に気づいた会計学者による発想なのか、それとも「原価には全部原価以外の考え方もある」という学者の分類意識によるも... -
直接原価計算による損益比較
直接原価計算が実際に積極的な効果をもたらすのか、第一章の例題を用いて検討してみる。 ●商品別の収益比較は可能か 〈第20表〉を確認すること。〔1〕は〈第5表〉を再掲したものであり、〔2〕はその内容を直接原価方式に基づいて書き換えたものである。 直...