2024年– date –
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陣後督戦型社長考
業績が低迷している企業の社長において、最も典型的なのは、この章で取り上げた陣後督戦型の社長だ。 自ら先頭に立つことを避け、部下の努力や成果に頼って業績向上を図ろうとする。これほど経営者として無責任な姿勢はない。こんなやり方で業績が向上する... -
重傷の身で経営計画を
三紅印刷の古川社長が名神高速道路で交通事故に遭い、救急病院に搬送されたとの連絡が入った。幸いにも、右手首の骨折と肋骨の軽いヒビで済んだとのことだ。 翌日、お見舞いに行くことにした。病院の場所がわからなかったため、まず会社を訪ねた。そこで、... -
経営計画に五千枚のメモ紙を
M社長から突然の電話があった。もちろん面識もなく、全くの未知の人物だ。話を聞くと、どうやら私の著書『経営計画・資金運用』を読んで感銘を受けたらしい。そして、全く新しい視点で「経営計画」を作成したので、一度会ってその計画について批評してほし... -
一万枚の名刺
L興業の社長N氏は、まだ五十歳には達していない。同社の業績は優秀なだけでなく、非常に安定している。その理由は、主要な取引先が異業種の6社に分かれていることにある。 一つの業界に依存し、一つの取引先だけに頼るリスクを考えれば、L興業の安定した業... -
テープ。レコーダーを肌身はなさず
N電機のS氏は、まさにアイデアマンと言える人物だ。自社製品の多くが彼自身の発想から生まれている。その中でも主力商品は特許によってしっかりと守られており、会社の業績は驚異的な水準に達している。それにもかかわらず、彼は一切自慢することなく、... -
お金とお客の話ばかり
A温泉にあるAホテルは、業績が好調で、従業員の訓練も行き届いている。社長であるA氏は、社長室で一人になると、いつも財務データに向き合っている。 不在の際には、社長の机の上に財務書類がきちんと整理されて置かれている。何度確認しても、一度たり... -
手帳に財務の数字を書きこんで
社長と初めて会った時、次々と数字が口をついて出てくる様子に驚かされた。何か特別な秘訣でもあるのかと尋ねたところ、「これが種なんですよ」と言いながら手帳を見せてくれた。 手帳の後ろの方には方眼紙を利用して罫線が引かれ、さまざまな表が書き込ま... -
会社を救った社長夫人
L工業の社長夫人は、洗練された美しさを持つ魅力的な女性だ。彼女はこう言う。「社長の妻なんて、女としてこれほど割に合わない役割はないわ」。 L工業の社長の依頼で幹部社員に向けて話をした際、社長夫人もその場で話を聞いていた。夫人は私の話に共感す... -
店舗拡張社長
K市には「M」という大衆的な料理店があった。料理を担当するのは旦那、接客は奥さんが仕切り、皿洗いの仕事を手伝うおばさんが一人いるだけのこぢんまりとした店だ。メニューも味も、接客も店の雰囲気も、値段に至るまでどこか親しみやすく、肩肘張らずに... -
世話役社長
S社長は一年を通して常に三つか四つの役割を担っている。たとえば、工業会の理事長、経営者向け経営研究会の幹事、業界主催の外国派遣研修生の予備教育のサポート役など、多岐にわたる活動に携わっている。 社長がそんなことをするべきではないと考え、か...