2024年11月– date –
-
会社の中にある陥し穴
固定費の割掛けが引き起こすさまざまな問題について触れてきたが、それでもまだ尽きることはない。 ◎工数削減によるコスト削減額 R社を訪問した際、工場長から紹介されたのが、いわゆるMAPI方式だった。これは、設備更新計画として知られ、設備投資の効率... -
百害あって一利ない全部原価
これまで延々と全部原価の棚卸しについて述べてきたが、洞察力のある読者であれば、全部原価ではどのような計算を行ったとしても、実際に前向きに活用しようとすると必ず誤りが生じることに気づいただろう。 全部原価とは、結局のところ「過去計算」にすぎ... -
直接原価計算(ダイレクト・コスティングーDirect Costing)
事業経営において重要な会計資料の基盤となるのが、いわゆる直接原価計算である。この方法が考案された背景については、全部原価の矛盾に気づいた会計学者による発想なのか、それとも「原価には全部原価以外の考え方もある」という学者の分類意識によるも... -
直接原価計算による損益比較
直接原価計算が実際に積極的な効果をもたらすのか、第一章の例題を用いて検討してみる。 ●商品別の収益比較は可能か 〈第20表〉を確認すること。〔1〕は〈第5表〉を再掲したものであり、〔2〕はその内容を直接原価方式に基づいて書き換えたものである。 直... -
生産性ということ
生産性の本質と付加価値の役割 「生産性向上」という言葉が頻繁に使われるが、生産性とは具体的に何を指すのだろうか。その定義は、成果とそれに要した費用との比率で表されるのが一般的だ。 では、企業における「成果」とは何を指すのか。そして「費用」... -
収益性の判定はどうするのか
収益性を高めるための正しい視点 加算法は、上述の二つの理由から、至る所で混乱を引き起こしている。それにもかかわらず使われ続けているのは、加算法が完全に過去計算に基づいているからだ。過去計算は、正確であろうと誤りであろうと、企業経営には何の... -
時間当り収益性
流通業と製造業の収益性の違い 流通業では、期間ごとの収益性を計算する際に、既存の算式をそのまま利用すれば問題ない。商品は仕入れればよいため、数量の制約については、仕入先の能力がある限り、基本的には考慮する必要がない。 ただし、例外として、... -
商品価格決定のための基礎計算はどうするのか
製造業における商品価格の決定では、最初に行うべきなのは基礎的な計算だ。その計算式は以下の通り。 商品価格=単位当たりの原材料費+単位当たりの工賃(利益を含む) 単位当たりの工賃=賃率×加工時間(余裕時間を含む) この計算方法が最もシンプルか... -
商品価格の決定
前節で取り上げた商品価格の基礎計算の方法とその考え方は、あくまで出発点に過ぎない。この計算結果をそのまま商品価格として採用するのは浅はかな判断と言える。 ある建築金具メーカーが自動機を導入し、コスト削減を図ったうえで、市場価格の3割引で製... -
商品収益性はこうして
最初に押さえておきたいのは、「商品ごとの総原価は計算できない。算出可能なのは商品ごとの収益である」という点だ。 なぜこの点を改めて確認するかといえば、かつて「増収増益戦略セミナー」で二日間にわたり講演を行い、その中で「商品別原価は計算でき...