2024年11月– date –
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原価計算は誤っているのではないか
多くの企業が原価計算を実施している。「原価を正確に把握しなければ、事業運営を誤る」という経営者の意向によるものだろう。しかし、その意向は本当に実現されているのだろうか。 多くの場合、その計算は伝統的な原価計算の原則に従って経理担当者によっ... -
変動費と固定費
本題に入る前に押さえておきたいのは、会社の数字における最も基本的なポイントが「売上から原価を引いたものが損益」であるという点だ。この原価は、大きく分けて変動費と固定費の二種類に分類される。そして、すべての原価は必ずこのいずれかに当てはま... -
スキー宿の原価計算
原価計算の実態を明確にするために、極端なケースを取り上げてみる。たとえば、あるスキー宿を想定する。この宿には、スキーシーズン中は月に300人の客が訪れるが、オフシーズンになると月に30人しか来ない。宿泊料金は1泊1000円だ。 月間の固定費は60,000... -
スキー宿の収益増大策
スキー宿の固定費は月額6万円で一定なので、収益を増やす方法を考える際には固定費を考慮する必要はない。むしろ固定費を気にしてはいけない。 固定費が一定である以上、利益を増やすには収益を増やす以外に選択肢はない。 理由は単純で、収益から固定費を... -
部門別損益計算というが
第4表の例題をもとに説明する。本社工場と分工場を有するある会社について、X期とY期の損益計算を比較したものだ。この計算は、企業会計原則に忠実に基づいて行われている。 この表では、製造原価が変動費と固定費に分けられている。変動費は原材料費に加... -
商品別の収益比較はできるか
原価計算の方法と限界 商品の一個あたりの利益がどれくらいかは、多くの経営者が最も関心を寄せるテーマの一つだ。そのため、商品ごとに原価を算出し、売価との差を計算するという手法が用いられる。 ところで、この方法で本当に一個あたりの利益を正確に... -
変るものと変らぬもの
これまで、固定費の割掛けがどのような影響を及ぼすのか、さまざまな例を使って説明してきた。繰り返し述べてきたように、固定費は経営全体の費用として、期間に応じて一定に発生するものだ。どのような商品を生産しても、設備が変わらない限り、減価償却... -
新しい仕事は引合うかどうか
F社はT社の下請けとして取引を続けていた。しかし、ある年にT社の事情で仕事量が大幅に削減され、A商品のみを扱う形となった。その結果、F社は赤字に転落する事態に陥った。当時の損益計算書の状況は〈第10表〉に示されている。 F社は、大幅に余剰となった... -
外注は高いか安いか
製造業において、内製と外注の選択は重要なテーマだ。よく耳にするのは「外注の方がコストを抑えられる」という意見だ。その背景には、「外注先の人件費が低く、管理費などの諸経費も自社と比較してはるかに安い」という考えがある。 しかし、「外注のほう... -
損益計算書は信用できるか
例を使って説明しよう。第16表は、ある製造業の会社がX月とY月に作成した損益計算書を示している。商品価格は1台あたり2万5千円、変動費は1台あたり1万円であり、1か月の固定費は120万円となっている。営業状況を見てみると、X月には100台を製造したが、販...