2024年11月– date –
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近代化への夢想から覚めよ
戦後の企業近代化の流れは、基本的に望ましいものである。厳しい競争を勝ち抜く上で必要不可欠であることも間違いない。しかし、その方向性を誤っている企業があまりにも多いのが現状だ。特に、管理部門の業務において、その問題が顕著であると言えるだろ... -
社長の疑問
Z社は業績が優秀な中小企業だ。しかし、社長には間接部門の肥大化という悩みがあった。ある日、社長がこんな質問を投げかけてきた。 「これからの企業経営は、経験や勘だけでは限界がある。科学的な管理がどうしても必要だと思い、合理化に力を入れてきた... -
我社の未来を築く
新商品や新事業という言葉ほど心を引きつけるものはない。それは、会社の利益を大きく伸ばし、未来の繁栄を手にする希望を秘めているからだ。だからこそ、多くの企業がこの挑戦に力を注いでいる。 しかし、実際に成功を収めている企業はどれほどあるだろう... -
我社の将来の予測から、新事業の必要性とその時期をとらえる
S社で長期事業構想書を作成した際のことだ。当時、サポートを始めてからすでに2年ほどが経過しており、事業は短期的には順調に進んでいた。その状況を踏まえ、社長は次なるステップとして長期的な構想に着手する決断を下した。それは、5年を見据えた計画だ... -
新技術開発というけれど
昭和48年の初め、A社の社長から連絡が入った。「T社が不渡り寸前まで追い込まれている。何とか仲間を集めて支援したい。資金は私たちが負担するから、経営面を一倉さんに任せたい」との依頼だ。事態は一大事だ。A社長や他の同志とともに、急ぎT社へ向かっ... -
優良会社をメチャメチャに
K社の危機の背景 K社の社長から「新商品の開発には成功したが、思うように成果が出ない。助けてほしい」と相談を受けた。実際に会社を訪れて詳しく話を聞いたところ、大幅な赤字を抱え、資金繰りが逼迫する危機的な状況に陥っていることが明らかになった。... -
一貫生産を狙って
T社は、東京都内の一角に工場を構える従業員百名ほどのアルマイト加工会社だった。硬質アルマイトの技術水準は非常に高く、顧客からの信頼も厚い。高度経済成長の波に乗り、順調に事業を展開していた。 しかし、順調とはいえ、加工業という性質上、高い収... -
ぶっつけで六百坪の店舗
N社長からの相談内容は「新事業として家具の小売店を始めたい」というものだ。N社は現在、家具の製造と卸売を手掛けており、その売れ行きは好調だという。そのため、新工場を建設し、移転後の現在の敷地を活用して小売店舗を展開する計画を立てている。敷... -
商品の性格を見きわめずに
C社は建築資材を扱う商社で、社員数はおよそ80人。石油不況の影響で本業は低迷しており、新たな事業の立ち上げを模索していた。主な候補として挙がっていたのは二つ。冷凍食品の分野と、プロパンガスや都市ガス用ホース接続器に取り付ける安全装置の開発だ... -
不用意な開発を戒める
この章で挙げた例は、不用意な開発のほんの一例に過ぎない。多くの企業で、安易な開発が横行している。このような状況が単なる無駄で終わらず、企業を危機的な状況に追い込む事態を招けば、深刻な問題となる。 新商品や新事業というものは、書籍に記された...