2024年11月– date –
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販売をスカウトした専務に任せて
U社は、特定の機械部品を手掛ける専門メーカーであり、高度成長期の追い風を受けて売上を急速に伸ばしていった。全体の売上の約30%が輸出によるものだった。 会社の規模が拡大するにつれて、社長一人では業務が回らなくなった。そこで、販売業務を全面的に... -
会社がつぶれたら、誰が責任を負うのか
会社が倒産した場合、その責任を負うのはただ一人、社長だけだ。この事実は、会社が実際に倒れる瞬間に明確になる。 どんな状況であれ、社会の批判と責任追及は必ず「社長ただ一人」に向けられる。それは、大企業が倒産した際の例を見ても明らかだ。どれほ... -
マネジメントには、事業経営の思想がないことを知れ
本章で取り上げた四つの企業の事例は、市場や顧客の存在を無視し、企業内部の対応だけに注力するというマネジメント理論の誤りを明確に示している。 これら四社に限らず、コンサルタントとして多くの企業に関わる中で、また社長セミナー後の相談の場でも、... -
伊勢湾台風と佐伯 勇
伊勢湾台風の際、近鉄名古屋線は木曽川の堤防が決壊した影響で、名古屋と桑名を結ぶ線路が浸水し、不通となった。当時の社長、佐伯勇はパリに滞在中だった。本社からの報告でその事態を知ったものの、水はやがて引くだろうと判断し、パリを離れることはな... -
独裁すれど独断せず
佐伯社長の著書『運をつかむ』(実日新書)には、先の事情について触れられており、さらに社長としてあるべき姿勢についても述べられている。その中で強調されているのが、「独裁すれど独断せず」という考え方だ。 事業経営において「多数決の理論」は成り... -
正しいワンマン経営とは
社長の役割とは何か 社長は、経済におけるリスクを伴う意思決定を行う立場にある。役割を果たすためには、次の三つの点が重要となる。 関心と行動を未来に向けること 市場や顧客の要求の変化を捉え、絶え間なく革新を続けること 高い収益を生み出す事業を... -
社長の責任と社員の責任はどう違うか
「社長の責任において決定する」とは、単に「結果の責任を社長が負う」ということだけを意味するわけではない。それ以上の意味が含まれる。「社長が知らない間に起きた事態」であっても、すべてが社長の責任として扱われるのだ。会社の中で何が起ころうと... -
社長の責任と社員の責任
社長の責任とは、結果に対する責任、つまり利益を確保する責任を指す。この責任を負うのは社長ただ一人だ。会社が倒産した際、誰が責任を問われるのかという点が、それを証明していると言えるだろう。 その責任はワンマン決定権として具体化される。このこ... -
自らの事業に専念せよ
F社は、まるでスーパーマーケットのような食品雑貨店だった。経営がうまくいっておらず、支援を求めているという話が紹介者経由で持ち込まれた。事前にその紹介者から、F社長がある道徳組織の地区責任者であると聞かされていた。訪問の当日――それは十一... -
人材待望論の誤りを知れ
M社を訪れた際、事務所の壁に貼られた大きな紙が目に飛び込んできた。そこには「一人一人が経営者」と書かれていた。この標語こそが、社長の搾取的な思想を如実に物語っており、会社の業績が低迷している原因でもある。社員には経営者としての意識を求めな...