2024年11月– date –
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部下の自主的な活動に期待したが
数年前のセミナーで名刺を交換した0社の0社長から連絡があった。業績が振るわず、支援を求めているという話だ。当時は事業が順調だと聞いていただけに、意外な展開である。 久々に顔を合わせ、社長の話を聞いているうちに、これは厄介な状況だと感じた。話... -
部下の立場に立って顧客を無視する
P社の工場長は、人間関係を重視する熱心な信奉者だった。企業運営において最も重要なのは「人の和」だと考え、物事を決める際には部下と徹底的に話し合う必要があるという信念を持っていた。 P社は受注生産を行う企業であり、営業部員は顧客からの引き合い... -
人間関係病
戦後、日本の企業社会に根深く入り込んだ「人間関係病」は、非常に厄介な問題だ。この病の特徴として、まず挙げられるのは、摩擦そのものを過度に悪とみなす風潮だ。次に、何事も部下と相談することを重視するあまり、部下が上司よりも優位に立つ状況を生... -
摩擦なき企業の危険
I氏は、自分が尊敬する先輩の一人だ。ただし、それは彼の人柄に関してであって、社長としては全く評価できない。人として立派であることと、経営者として優れていることは、まるで別の話だ。 I氏は、過去に米軍関連の仕事に従事していた経験があるため、そ... -
不平不満はなくせない
知能指数とは、知能検査で測られた値に過ぎないという皮肉がある。この論理をそのまま適用すれば、モラールとはモラール・サーベイによって測られるものであり、それがそのまま勤労意欲を意味するわけではない。 モラール・サーベイというアンケート結果を... -
能力に合った仕事を与えることなど、できない相談である
人間関係論の教授たちは、口を開けば「部下にはその能力に見合った仕事を割り振れ。無理をさせるのは禁物だ」と説く。 一見もっともらしく、正論のように聞こえるが、こんな馬鹿げた理屈は存在しない。この論法に従えば、部下の能力を完全に把握していなけ... -
動いて働かず
T産業の社長S氏は、驚異的なスタミナを持つ人物だ。毎朝早く家を出て、一日に一〜三社を訪問して用事を片付ける。その後、十時ごろには営業所に姿を現し、昼までの約二時間を全力で駆け抜ける。次々とかかってくる電話に対応し、商談を手際よく処理して... -
無能な部下ばかりだ
N社は、従業員が200名強在籍する中小企業の合理化モデル工場であり、U社の専属工場でもある。社長は、自社の専門技術に精通したエキスパートであり、生産技術にも深い知識を持つ。自らの技術力を駆使し、現場の隅々にまで目を配り、改善策を指示している... -
空しい努力
T産業の社長やN社の社長のような叱咤型のリーダーは、際立った個性と並外れたエネルギーを持ち合わせている。さらに、頭脳明晰で、知識を深めるための努力も怠らない。 異常な熱意と執念を燃やして経営に取り組む姿勢には感服せざるを得ない。ただ、それ... -
企業の成果は外部から得られる
ワンマン経営者の根本的な問題点は、関心の矛先が企業内部や部下に向いてしまい、外部に目を向けないところにある。こうした経営者にとって、外部への関心は常に後回しとなりがちだ。 一般にワンマン経営者への警鐘として、「人材が育たず、部下のモチベー...