一般的に契約社員と呼ばれている人たちがいます。会社側と一年契約などの雇用契約を結び、一年ごとに更新を繰り返すタイプの雇われ方です。
仕事自体は一年で会社から消えるものではないのに、そこに契約社員を配置する企業もあります。
有期契約なので、期間満了により終了(雇い止め)という方法を活用でき、会社側の都合で来年は更新しないとすることができるからです。
実は現在、このような形態で雇用をする企業が増えています。
大企業や一部の中小企業では、人員調整が容易な点と、スタッフが法律で守られている「解雇」というトラブルを回避できるためでもあるでしょう。
しかし、この会社側からの一方的な解雇に近い契約満了によるトラブルが後を絶ちません。
弊社では、このような契約社員の採用コンサルティングは依頼があっても受けていません。
理由は、採用されるスタッフの人生が幸せにならず、弊社の企業理念に反するからです。
来年も契約更新があるかどうか分からないという状況では、スタッフも人生設計がたてられません。
頑張れば正社員にするという言葉のもと、何年も働き、「正社員になれば、現在付き合っている人と結婚したい」という話をしていた方もいます。
しかし、現実的に正社員になれる可能性は低いそうです。スタッフは労働力ではなく、人であり、家族だと思う私はその話を聞いて悲しくなりました。
そもそも契約社員は更新回数が一定回数を超えれば、正社員同様、一方的な契約期間満了が解雇にあたります。ですから、いつでも人員調整できるということはないのです。
スタッフ本人が、本当に望んで契約社員を選んだり、有期業務で本当に一年などで仕事が無くなるのならばまったく問題はないと思います。
しかし、昨今の契約社員という制度の使い方には、企業とスタッフの採用という架け橋にいる立場として、日本の将来に警鐘を鳴らしたいのです。
契約社員で採用しようとする姿勢は、スタッフへの想いなど会社の裏側も見え隠れします。会社は誰のためにあるものなのか、誰を幸せにするためにあるものなのか。コストや数字しか見ない方々の言葉に耳を傾けるのではなく、人を幸せにできる会社として取るべき行動を選びたいものですね。
第二章のまとめ(あなたはこの章で以下のことを学びました)
- 人材採用は、新卒採用より中途採用の方が難しい。なまじ業務経験があるから、判断を誤る可能性がある。
- インスタント人材を採用しようとする意識を消すことが採用成功のコツ。
- 〝即戦力〟という言葉を使わずに、自社で育てる意識を持つことで採用から教育までの流れができ、人材も定着しやすい。
- 技術やスキルは後からでも学ぶことができるが、学べないのは「人間力」そのものである。
- 採用においては、成長という点を考えることが大事。中途採用でも「ノビシロ」に意識すること・転職市場にどういう人がいるのかを把握しよう。それによりターゲットとする人材が明確になってくる。
- 現場が求めている人材と経営者が求める人材は違う場合が多い。
- 過去の採用失敗事例を追うことで、今後失敗しないために気をつけるべき点が見えてくる。PDCAサイクルが重要。
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