▼(9)策定方法と体制
中期経営計画を策定する方法には、大きく分けて4種類があります。
①プロジェクト方式
これは、経営企画担当役員等がプロジェクトリーダーとなり、社内各部門から部課長クラスがメンバーとして参加し、キックオフから何ヶ月かかけてプロジェクト原案を策定し、経営会議または社長に提案する方式です。
社長は「プロジェクトオーナー」という位置づけです。
私が指導する場合には、多くがこの形式です。
マンガのストーリーでは、大和貿易がこの方式です。
②現行組織中心方式
これは、役員以上の経営陣で現状分析~ビジョン設定~基本戦略策定までの前半部分の検討を行い、それ以降の後半を各部門の部課長クラスが個別戦略から活動計画までを具体化する方法です。
前半・後半での役割分担となっていますので、社内で進める場合にはこのような方式もあり得るでしょう。
③経営企画中心方式
これは、経営企画が事務局となり、ポイントごとに経営者・トップの意向や考え方を確認しながら事業部や各部門に内容記入や具体化を求め、取りまとめていく方式です。
社長の意向に沿った経営計画はできますが、各部署間の議論が不足する傾向にあり、納得性や実現性に難点が残ります。
マンガのストーリーでは、山本電機はこの方式とプロジェクト方式のミックス方式で行っています。
④合宿研修方式
これは、ベンチャーや比較的小規模の企業の経営陣や部門長が週末などに定期的に集まり、合宿検討を繰り返しまとめていく方式です。
相互信頼関係があって、参加者が気兼ねなく積極的に発言できるような雰囲気がある会社なら効果的でしょう。
・ファシリテーションの必要性日本人は序列やメンツを重視するため、議論を避ける傾向があり、会議を開いても黙りこくって討議が盛り上がらないことがあります。
以前、中期経営計画のファシリテーションを依頼された会社では、社長が役員を集めて議論させようとしたのですが、みんな黙ってしまってうまく行かなかったので、ファシリテーションをしてほしいと相談されたのです。
そこで、ワークショップの実施にあたってきちんとフレームワークを与え、少人数でグループ討議ができるようにすると、別人のように活発な議論が行われたのです。
脇で聞いていた社長も喜んでいらっしゃいました。
中期経営計画は、予算などと違い、これまでと違う考え方やアプローチをとる必要性をみんなで議論し共有する必要があるため、きちんと全員が自分の考えを持ち、発言し、議論を戦わせ、合意できる合理的な結論を導き出す必要があります。
このため、参加者の議論を促すようなファシリテーションができるファシリテーターが必要となります。
社内で議論をさせたいと思ったら、まずファシリテーションスキルを身につける必要があります。
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