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鉄則14「競争のさせどころ」を間違ってはいけない。

◆「異質なもの」を比較しても意味がない前の項目で「ナンバー2の座を争ったら、どちらかをクビにする」と話をしましたが、これは何も「社内全体で競争があってはいけない」という意味ではありません。ここを誤解しないでください。会社には「競争させるべきところ」と「させてはいけないところ」があります。これを明確に区別することが重要です。武蔵野は、部長までは完璧に競争させます。数字を上げた順番に序列がつき、賞与は相対評価でボーナスが決まります。しかし、本部長以上は、他の本部長との競争は一切させません。異質の事業、異質の仕事をしているのに、他と競争させても意味がないからです。本部長のAさんとBさんがライバル心を燃やして、勝手に競争してAさんが勝った。しかし、そんなものは私にとっては関係ありません。どっちが勝ったかなんて、どうでもいい話です。それで二人が前年の数字を越えなければ、当然ボーナスは大幅に減額です。このクラスになったら、競争させるのは「他人」ではなく「自分自身」。「昨日の自分」「前年同月の自分」と比較して、勝ったか、負けたか、の競争をさせる。異質なものを比較しない。その競争にきちんとした意味があり、他人と競争させない分、無用な争いは起こりません。本部長クラスがお互いに競争して、ギスギスしていたら、余計な派閥が生まれて、部下もみんな迷惑する。無用な軋轢が起こらないように、「競争させるべきところ」と「競争させないところ」をきっちり分けて、方針を打ち出す。これが社長の仕事です。こうした方針がしっかりしていないから、社員が無用な競争を始めて、足を引っ張り合うのです。◆パーセンテージではなく「数字そのもの」を評価する「前年の自分と競争させる」の話をすると、すぐに「前年比○パーセント」とパーセントの話を始める人がいます。しかし、これが大間違い。理由は単純明快です。前年の売上げが一〇〇万円で、今年二〇〇万円になると二〇〇パーセントです。一方、前年の売上げが一〇〇〇万円で、今年一五〇〇万円売り上げたら、こちらは一五〇パーセントです。会社として評価すべきはどちらですか。考えるまでもありません。もちろん後者です。一〇〇万円の売上げ増加より、五〇〇万

円の売上げ増加の方が大事に決まっています。だから、数字は、パーセンテージではなく「金額そのもの」を見て、評価しなければいけません。これは経営の大原則です。しかし、この話をすると、今度は「そんなことを言っても、部門によって売上げが上げやすい部門と、小さな売上げしか上げられない部門があるでしょう」「その場合、パーセントで比較した方が公平じゃないですか」と言い出す人がいます。これこそ異質なものを比較している典型例です。そもそも異質な事業をしているから、数字に違いが出てくるのは当然でしょう。そんなもの仕方ない話です。Aという部門は売上げが上げやすくて、Bという部門は上げにくい。たしかに、そんなこともある。Aさんが営業部門での能力が高くて、Bさんが総務部門での能力が高いなら、当然、Aさんの方が多くの売上げを出します。それが現実なら、仕方がないでしょう。トランペットを吹くのが上手な人が、野球選手の方が稼げるからといって野球を始めても意味がないのと同じです。世の中とはそういうものです。どうしても野球選手になって稼ぎたいなら、ゼロから練習を始めるしかありません。会社でいえば、総務部門の本部長を辞めて、営業部門の平社員になることです。しかし、そんなことを希望する本部長は誰もいません。それこそ給料はガタ落ちですし、ゼロから学んだとしても営業部門で花が咲き実が成るかもわからないです。そんな文句を言う人がいても、「オマエにそっちの才能がないんだから諦めろ。自分の才能があるところでやればいいじゃないか」と言うだけです。無いモノねだりをしてもしょうがないです。ただ、忘れて欲しくないのは、それ以前に武蔵野は、頻繁に部署異動をさせ、いろんな経験をさせ、平等にチャンスを与え、能力を見極めている点です。その前提がある上で「個々に向き不向き」があるのは当然の話ですし、それをとやかく言っても仕方ないです。

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