◆全情報を共有したら、社長もナンバー2も潰れる社長とナンバー2の情報共有はもちろん大切です。情報開示の点で、武蔵野は原則フルオープンです。会社の数字であれ、セクハラ問題であれ、すぐに全社員に広がります。しかし、何もかも共有するかといえば、そんなことはあり得ません。ここで重要なのは「どんな情報を共有して、どんな情報は共有しないのか」がはっきり決まっていることです。私が知り得ている情報のすべてをナンバー2の矢島に伝えます。その中には矢島が担当している組織、事業とは無関係のものも含まれる。無関係の情報まで共有したら、途端に矢島はキャパオーバーになります。だから、ナンバー2が担当している組織、事業に関する情報はすべて伝えますが、無関係のものは伝えないです。「誰にとって、どの情報が必要なのか」あるいは「必要ないのか」が明確に区別されていることが重要です。これは「社長↓社員」という方向に限らず「社員↓社長」についても同じです。武蔵野では、ナンバー2をはじめ、すべての幹部、社員が「何を、どう社長に報告するのか」、反対に「何は報告しなくていいのか」がはっきり決まっています。これが決まっていない会社がものすごく多いです。しかし、考えてもみてください。従業員八〇〇人が毎日メールを一本私に送ったら、それだけで私はパンクします。だから、私には「上位二〇パーセントのお客様の情報をあげる(それ以外はシャットアウトする)」と決めています。売上げの八〇パーセントは上位二〇パーセントのお客様によって成り立ち、社長は、重要なことを把握できれば十分です。「知らない幸せ、知ってる不幸」も会社にはある。◆「固有名詞のない報告」は必要ない!社長、上司への報告にしても「ただ報告すればいい」ではありません。私は「固有名詞のないものは報告しなくていい」と指導してます。「社員の小貫悦子課長が『ある男性』と歩いていた」なんて情報はいらないわけです。「ある男性」が誰だかわからなければ、そんなものは作文と同じです。そんな情報が社長にあげられたところで、時間の無駄です。ただし、「社員の小貫悦子課長が日下部綾馬課長と歩いていた」なら話は別です。これは報告すべき内容となります。このように業務に関しても「何を、どのように報告するのか」がきちんと決まっている
ことが重要です。「お客様の中には、こんなことを言っている人がいます」「最近は、こんな印象を抱いている人がいるみたいです」なんて報告は、まるで意味を成しません。「共有すべき情報」「報告すべき情報」とは、どういうものなのか。情報共有の質を高めたいのなら、数字を入れての報告のルール化から始めなければなりません。数字はそれだけで言葉です。数字がある情報は正確です。不正確な情報をなんでもかんでも共有すればいいわけではないです。
ことが重要です。「お客様の中には、こんなことを言っている人がいます」「最近は、こんな印象を抱いている人がいるみたいです」なんて報告は、まるで意味を成しません。「共有すべき情報」「報告すべき情報」とは、どういうものなのか。情報共有の質を高めたいのなら、数字を入れての報告のルール化から始めなければなりません。数字はそれだけで言葉です。数字がある情報は正確です。不正確な情報をなんでもかんでも共有すればいいわけではないです。
◆「社長、ナンバー2、それぞれの奥さん」で年に二回の食事会私とナンバー2の矢島は、年に数回、奥さんを交えて四人で食事会をします。一度は矢島の奥さんが行きたい店を決め、もう一度はうちのかみさんが決める。矢島と私は、奥様方の従順な家来で、彼女たちの言いなりについていって、支払いはすべて私が身銭を切る。家庭がうまくいかなければ、会社がうまくいくわけがありません。それは社長だって、ナンバー2だって、その他の社員だって同じです。だから、奥さんを大事にしなければなりません。同時に、ナンバー2の奥さんが「反・武蔵野」「反・小山」だったら、これまたうまくいきません。だから、こうしたコミュニケーションはとても大事です。奥様方が食事やおしゃべりに興じている間に、矢島と私は「お客様の情報」を共有したり、半年先の社員の人事について話をします。社員がもっとも興味を持つのは「人事と給料」です。給料は自動的に決まるしくみで、矢島とは主に人事について話をします。この飲みの席で、だいたいの方針は決まります。その他、矢島に月に一度、「朝のお迎え報告」があって、私が出勤する車の中で報告を受けます。また、役員とは、年に一回「役員懇親会」があり、当番制でどこへ行きたいかを決めます。二〇一七年は大阪心斎橋にある高級割烹『作一』へ行って、常務の滝石洋子がガンガン酒を飲んで介添は取締役の佐藤義昭です。役員は、支払いは私がするので、全国どこでも行きたい場所を好きに選んで「役員懇親会」を毎年実施する。ナンバー2とコミュニケーション、役員懇親会はなにしろ楽しいです。「社長会」は、本部長以上が参加する懇親会です。懇親会の幹事は持ち回りで行われ非常に盛り上がります。二〇一七年一二月に行われた懇親会で、私は本部長たちに「数年で100億の会社になる。そして本部長は全員年収1000万円以上にする」という夢を語りました。その瞬間、本部長の顔色がさっと変わりました。社長が幹部と夢を語る懇親会は大いに盛り上がります。「役員懇親会」と同じく、こちらも日頃行ったことがない店を選び、費用は私のポケットマネーです。会費は一人五〇〇〇円を取りますが、これはあくまで2次会の費用。私は一次会だけの参加します。ナンバー2や幹部とのコミュニケーションが不足していると感じたなら、まず「年に数
回懇親会をやる」とルールを決めればいいです。それでやりながら、都合の悪い部分は変更すればいいです。ルールが何もない状態で「もっとコミュニケーションを大切にしよう」と思っているだけでは、何も変わりません。当たり前の話です。「昨日、何を食べたの?」はコミュニケーションではない。酒を飲みながらの仕事のコミュニケーションは、やったことに対して「良かったぞ」「悪かったね」がコミュニケーションです。
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