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自社の現状を把握するために~SWOT分析

この記事でわかること

まず、戦略立案に先立ち、自社の現状を把握しなければなりません。

マクロ環境の把握にはPEST分析、業界環境の把握としてはファイブフォース(5F)分析、競争環境の把握には3C分析、そして強み・弱みの把握ではVC分析というように、環境分析には様々なフレームワークが存在しますが、次世代経営塾ではSWOT分析と3C分析について詳しくふれています。

ここではSWOT分析について解説していきます。

の頭文字から名づけられた環境分析手法で、その名の通り自社の現状を「強み」と「弱み」、そして「機会」と「脅威」という4つの観点から整理していきます。

自社の現状を分析・把握する際、ただ思いつくまま羅列していくのでは偏りや漏れ、重複等が生じてしまい、満足な結果が得られません。

SWOT分析はこのような場合に有効な手法と言えるでしょう。

さらに詳しくご説明すると、内部環境については「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」、「ノウハウ」という項目ごとに「強み」と「弱み」を挙げていくといいでしょう。

例えば「ヒト」では、経営者の人望、経営能力、右腕となる経営幹部の存在、技術を持った従業員の存在などが挙げられます。

「モノ」は販売している商品、仕入れている原材料、保有している設備、店舗など。

「カネ」は会社の財務状況、自己資金の有無、資金調達力の有無などが挙げられます。

「情報」は顧客情報(データベース)、情報インフラの存在など。

そして「ノウハウ」は、競合他社よりも秀でた加工技術や、代々受け継がれてきた無形資産が当てはまります。

強み・弱みとして挙げられる例

資源(財務・知的財産・立地)、顧客サービス、効率性、競争上の優位、インフラ、品質、材料、経営管理、価格、輸送時間、コスト、容量、主要顧客との関係、市場における知名度・評判、地域言語の知識、ブランド、企業倫理、環境etc.

一方、外部環境は、前項で整理した、「自社の事業に影響を与えやすい環境要因」をそのまま用いることができます。

抜け漏れのないよう、「政治」、「経済」、「社会」、「技術」の4つの切り口で見直してみましょう。

政治(政府の動きや事業を取り巻く法規制)に変化があったか、経済(景気状況、金利、株価)に変化があったか、社会(事業の対象としている層の人口、男女比率、年齢構成、ライフスタイル)に変化があったか、技術(特許、最先端技術)に変化があったか……という視点で外部環境を見ていきます。

そのうち「機会」とは自社が経営を行っていく上で有利に働く要素であり、追い風である要素。

「脅威」はその逆と理解すると比較的考察しやすくなります。

例えば、地域の高齢者をターゲットとした事業を行う場合、地域での高齢化が進んでいる=「機会」があると捉えることができます。

機会・脅威として挙げられる例政治・法令、市場トレンド、経済状況、株主の期待、科学技術、公衆の期待、競合他社の行為etc.このように内部環境と外部環境を考慮しながら自社にとってどんなことが強みになっているのか、どういう弱みがあるのか、機会になっているのか、脅威になっているのかと分類していきます。

なお、通常、コンサルティング先でSWOT分析を行う際には5~6人のグループで、SWOTの項目ごとに1人5~10項目(全員で計30~60項目)を挙げていただいています。

これを適宜ディスカッションを加えながら整理していくことで、分析の客観性と参加者の経営への参画意識を高めることを狙うわけです。

ポイントは、特に「強み」を追求していくことです。

中小企業では、往々にして「自分では当たり前と思っていること」が、実は第三者から見れば十分競争力のあるすごい技術であったり、ノウハウであったりします。

「弱み」は逆に、日々「うちはこれが足りないな……」と痛感しているため、的確に把握できていることが多い。

自社を客観的に評価することは困難なことですので、可能であれば経営幹部とディスカッションしたり、取引のある金融機関の方などに意見をあおぎ、「我が社の強みとは何か」について考えていきましょう。

ここで分析したことは、今後の成長戦略の方向性を考察するベースとなります。

戦略立案の視点は以下の4つです。

●自社の「強み」を活かし、いかに「追い風」に乗っていくか(積極攻勢策)

●自社の「弱み」を、「追い風」を利用して克服できないか(弱点強化策)

●自社にとっての「逆風」を、「強み」を利用して克服できないか(差別化策)

●「逆風」と「弱み」から生じる危機を、いかに回避するか(防衛・撤退策)

特に中小企業経営においては、自社の「強み」を活かし、いかに「追い風」(=機会)に乗っていくか、という姿勢が必要です。

「弱み」を数えあげて1つひとつ強化していこうとすると、時間がかかる上に「うちはだめだな」という自己暗示にかかってしまうことがあります。

それよりも「強み」をよりブラッシュアップして、一気に企業体質を強化しようと考えていくほうが、限られた経営資源を活用する上でも有効かつ効果が高いのです。

Column

SWOT分析フォーマット以下のキーワードを参考にしながら、実際に記入してみましょう(図4)。

参考「強み」を表すキーワード

小回り、スピード、短納期対応、フットワークの良さ、少数精鋭、家族経営(結束力)、お客様への細かな対応、接客力、社員の質、若い人財、社内で設計・施工(オリジナル性)、多品種少量生産体制、他社が入りにくい取引の仕組み、海外との直接取引、製造技術、施工能力、ブランド、品揃えの豊富さ、定番商品、仕入力の強さ、原材料へのこだわり、環境に配慮した商品、当社しかできないサービスを保有、全商品手づくり、資金力が豊富、目の前の資金繰りを気にしなくてよい、社長が若い、社長の人脈、経営力が高い、先代の人脈、創業して半世紀、地域(地元)密着、昔からの顧客、固定客がいる、顧客リピート率の高さ、顧客が分散している、創業50年、創業から100年以上

参考「機会(追い風)」を表すキーワード

同業他社の減少、ライバル店の減少、近隣に同業者がいない、当地域内では同業者が少ない、健康志向、お客様の『ホンモノ』志向、高齢化社会、シルバー層の増加、高齢者率の増加、ライフスタイルの変化によるリフォーム需要の増加、労働力の多様化(女性、高齢者の活用など)、ITの進化、インターネットの普及、通信販売市場の拡大、地球環境、エコロジーへの貢献、再生医療の進展、グローバル化

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