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第七項 上を目指して学び続ける

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学びに貪欲となれ

変化は激しく、変革は果てしないものです。自問自答して常に内省し続けないと、会社はすぐに社会に通用しなくなります。

そして、もう一つ。社会に通用し続けるためには、自分を成長させ続けなくてはなりません。そのためには、やはり学び続けることが大切なこととなります。

その時大切な心構えが二つあります。

  • 「上には上がいると思うこと」
  • 「世の中には、今までに起きてないことはないと思うこと」

です。

それには、「我々は、生産なら生産、マーケティングならマーケテイングで、世界で本当に優れた会社にひけをとらない経営をするのだ」という意識をまず持つところから始まります。

その意識を持って、毎日、

  • 「ひょっとしたら今自分がやっている方法以上にいい方法があるのではないか」
  • 「自分が今やっていることを飛躍的に成功させるヒントみたいなものがどこかにあるのではないか」

と考えるのです。

そして、考えるだけでなく、我々がやろうとしていることに関しては、必ずどこかの会社の誰かがやっているはずですから、そういつた人たちと話をしたり、そういつた人たちが書いた本を読んだり、実際に見にいく、使ってみたりするということが大切です。

それによって、いったいどういうことを考えて、どういうことをやっているのかということを徹底的に調べるのです。

そうすると、この人たちはこういう考えで、こういうことをやったんだなということがよく分かつて、自分がやるんでものすごく参考になります。

ですから、私の場合、本でいうと、学者が書いた本よりも、経営者が実際に経営をして、こういうことだつたみたいな本を好んで読みます。

そうした実行の疑似体験や考え方の疑似体験のようなことは、たくさんやらないといけないと思います。

また、本ではなくて直接話を聞きたいと思った時も、「コネクションがない」とか「こんなことを聞いても教えてくれないのではないか」などと言ってためらつたり、恥じらつたりする必要はないと思います。

それは言い訳であって、行動に移せないとしたら、危機感や成長したいという思いが足りないのだと思います。

本当に成長したいと思うのであれば、バンバン電話するなどして、どんどん聞きにいくことをすればいいのです。

それで、「自分はこういうことを考えていて、こうやっていますが、お宅の会社はどうなのでしょうか。情報交換をしませんか」ということであれば、結構話に乗つてきてくれると思います。

経営者は、実行に活かしてこそ、学びの意義がある

次に学び方の話をします。

経営者としての本当の学習は、知識や情報を、

  • 「自分のことに置き換えて考えてみること」
  • 「実践してみること」

この二つがなければ、意味がありません。

みなさんは、経営者になるため、経営者として成果を出すために学習をするわけです。だから、単なる「お勉強」で終わっていたり、学者のように知識をたくさん溜めることに意味はないのです。

実行に結びつけないと意味がない、そして実行を通じてまた学ぶ、このサイクルになっていないと、経営者としての学習になっていないということです。

実行に結びつけるためには、その知識を本当に自分のものにしなければなりません。

そのためには、例えば本を読む時も「あっ、こういう考え方があるんだな」とか「この考え方もいいな」と思うだけで本を閉じてしまうような読み方ではだめだということです。

  • 「ここに書いてあることは、自分だったらどう考えるか」
  • 「自分の会社だったら、どういうことにあたるのか」
  • 「自分の会社だったら、どのように実行ができるか」

などというように、常に対話をしながら読むようにするということです。これは、講義を聞く、人の話を聞く、見学をするなど全ての場面に共通します。

そして、自分のことに置き換えることができたら、実際に実行に移してみることが肝心です。その結果、できたのか、できていないのか、自分で厳しく評価をする。

できていないとしたら、その原因を考えて、また実行する。これを繰り返し、本当に自分のものになるまでやっていく。実践家にとっての正しい学び方というのは、これしかないと思います。

自分に力をつけて、本物の情報が入るようにする

経営者として成果を出していくためには、学びとなる「情報の質」を高めていけるようにすることが肝心です。情報は人がもたらします。ですから、本物の人と情報交換ができるようになることが大切だということです。

世の中、本当の情報を持っていたり、本当に優れた人というのは、それぞれの業界で数えるほどしかいないと思っています。

例えばスポーツカーのデザインをする人といった場合、本当に優れた人は全世界にそれほど多くいないと思うのです。

それと同じことで、生産技術のこと、マーチャンダイジングのこと、情報システムのこと、あるいは人事のことなど、本当に優れた人はそれほど多くいないと思います。

そういう人たちだけが、本当に先端の情報を持っています。ですから、いかにそういう人たちに早く行きあたるかといったことを考えて仕事をしないといけません。

そして、その時に最も重要なことは、そういう人たちに行きあたった時に、しっかりと対話ができる力を自分が身につけておかなくてはいけないということです。

自分がその人に与えるものの量が少ないと、本当の対話になりません。当然のことですが、本物の人たちが、時間を割いて、しかも本質的な話をしてくれるかというと、全然何もない人に対して、それはありえません。

だから、相手に与えられるものとか、相手が反対に自分に聞けるよヽつなものを、自分にいかに蓄積するか、といったことがないといけないということです。

つまり、結局は、自分に力をつけるということが、本物の情報を手にするためには必要なのです。

そのために大切なことの一つは、やはり、貪欲に学び、本物の人と話ができるだけの知見を持つ努力を重ねることです。

私は、今も続けていますが、若い頃から三十年以上、毎日、本や業界誌を読んだり、いろいろな人に会って話を聞くことをやってきました。

だから、業界の情報や、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国などの国の、どこの専門店や百貨店や量販店が、こういう状況でこうだということを、誰よりもよく知っていると思います。

非常に基本的なことですが、こういったことも大事で、五年継続してやっていけば、世の中の本物の人たちに会った時に、本質的な話ができるのではないかと思います。

二つ目は、やはり仕事を一所懸命にやり、実績をあげるということに尽きます。私も、若い頃は、世の中の本物の経営者のような人たちの話を聞こうとしても、あるいは一緒に話をしても、相手が私のことを信用していないので、軽く扱われておしまいでした。

しかし、実績が出てくると、こちらの話をそうですねと聞いてくれて、それから、自分としては本心ではこう思うのですよと話をしてもらえるようになりました。

相手からも、あいつは力になつてもらえる存在だと認められるようになること。そこから、本物の人とのネットワークが広がり、これがまた、学びにつながっていくという好循環が生まれるのだと思います。

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