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第一項 経営者にとっての使命感

目次

会社の存在意義の追求こそ全て

会社にとって一番大切なのは、使命感です。

使命感とは、何のためにその会社を作ったのか、何のためにこの会社は存在するのかといった、企業の存在理由であり、それを永遠に追求し続けようとする姿勢です。

経営者というのは、自分たちは最終的に何のために会社をやっているのか、そういった会社の存在意義をよく考えて、「自分は本当にそうしたい」「自分の会社が本当にそうなりたい」と心から深く信じられ、自分をささげるに値する使命を見出し、それに殉教するような思いで経営をしなければなりません。

私自身、経営者を四十年ほどやってきて、他の人の経営も見てきて、経営で最も大切だと思うことは、企業活動が自社の使命感にもとづいて行われているかどうか、ということなのです。

優秀な会社、それも瞬間風速的に優秀な会社ではなく、長い期間、社会から優秀だと認められている会社は、しつかりした使命感にもとづいた経営が行われている会社です。

具体的には、経営の戦略や意思決定が使命感に沿って行われている。そこから外れたことをやらないという経営ができている会社です。

また、その使命の実現に少しでも近づこうと、高い目標、あるべき姿を常に追い続ける挑戦をしている会社です。

そして、社員が、自分の会社の使命感をよく理解し、「それを実現するために、自分はこのような考えで仕事をしている」という自分の意思をしっかり持って働いている会社です。

使命感が、実際に、社員の心の中に浸透していて、社員一人ひとりの具体的な現場とつながっている状態ができているということです。

最近の会社ですと、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」を自社の使命にしているグーグルは、まさにこの言葉通りのことを実行しているので、使命に忠実な経営をしている会社の一つに見えます。

使命を、全ての企業活動の中心に据えよ

何のためにその会社は存在しているのか。その原点を経営者が忘れ、社員も忘れている会社が、いい会社になりようがありません。

しかし、現実的には、この使命感の部分があいまいになっている会社が多いのです。

「いや、私はきちんと自分の会社の使命は分かっているつもりでいます」と一一一甲つ経営者は多いと思います。しかし、では本当にその使命に従った企業活動をしているかというと、そうではないと思います。

多くは、儲けることだけに心を奪われて、使命はそっちのけになっているのではないでしょうか。

例えば、使命が会社のパンフレツトに書いてあるだけ、あるいは年一回、年度初めの時だけ確認するものになってしまっている会社もあります。

また、最近の経営者の中には、はじめから会社の使命など考えていない人が少なくないように思えます。

とにかく一発当てて儲けること、有名になること、自分のキャリアに箔をつけること。そういつたことばかりに関心が向いている人たちです。

私は、こういう人たちを本当の経営者だとは思いません。

こういう人たちに限って、会社は誰のためのものかと聞かれると「株主のため」と堂々と答えます。MBAで習った教科書のような答えです。

本当に地に足をつけて、自分で商売をやっている経営者は、「お客様のため」と答えるはずです。

お客様に必要とされるものを提供すること以外に、企業は存在理由、存続理由がないからです。

そのことを実感として分かっていたら、「お客様のため」という答え以外は出てこないと思います。

いずれにせよ、経営者は、会社を成長させ、長く繁栄させようと思ったら、自社の使命を全ての企業活動の中心に据えた経営をすることが肝心だということです。

これを忘れ、逸脱した経営をし始めると、会社はおかしくなって、破綻の道を歩み始めるのです。

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