社長の責任とは、結果に対する責任、つまり利益を確保する責任を指す。この責任を負うのは社長ただ一人だ。会社が倒産した際、誰が責任を問われるのかという点が、それを証明していると言えるだろう。
その責任はワンマン決定権として具体化される。このことをしっかりと認識する必要がある。ワンマン決定こそが正しい在り方であり、それ以外の形は存在し得ない。
例えば、一般的によく言われる「合議制」は、責任逃れを美化したものに過ぎない。責任の所在が明確でないことが、その本質を物語っている。
社員の責任は実施責任に限られるべきであり、結果に対する責任を負わせるのは明らかな誤りだ。この点についてはすでに述べた通りだ。そのため、事業部制や独立採算制、部門利益責任制といった仕組みは、すべて根本的に間違っていると言える。本来、社長が一人で負うべき利益責任を社員に転嫁する構造こそが、これらの制度の最大の問題点だ。
この誤りは、必然的に社員に誤った行動を取らせることになり、結果として会社の存続を危うくするばかりか、社員の人間性までも破壊してしまう。社員に課されるべき責任は、あくまで会社の方針や指令を実行する実施責任に限られる。そして、追及されるべきは、その指令や方針を実行しなかった不実施の責任だけである。
社員には結果、つまり利益に対する責任がないことを、社長は深く理解しなければならない。この点は、どれだけ繰り返し強調しても足りないほど重要である。
利益責任は社長ただ一人が負うものであり、実施責任は社員が担うという明確な認識こそが重要だ。そして、最も苦しい立場にいるのは常に社長である。世の中に「いい会社」や「悪い会社」が存在するのではなく、あるのは「いい社長」と「悪い社長」だけだ。
社長と社員の責任の違いは、経営における最終的な「利益責任」と「実施責任」に明確に分かれている。社長の責任とは、事業の成否や利益に対する最終責任を一身に負うものであり、会社がつぶれた時に誰が責任を問われるかがその証である。この最終責任が、社長に「ワンマン決定権」を与えている。ワンマン決定は、責任を曖昧にせず、経営判断を一貫させる正しい形態であり、組織全体の明確な指揮系統を保つ役割を果たす。
一方で、社員の責任は「実施責任」であり、社長が定めた方針や指令に従って業務を実行することに対して責任を負うものである。社員が追及されるのは、あくまで方針に対して不誠実や不実施があった場合であり、最終的な結果や利益に対する責任ではない。これを混同し、社員に結果責任や利益責任を負わせると、彼らの行動が過剰にリスク回避的になり、会社全体のパフォーマンスにも悪影響を与え、社員の人間性をも損なう危険がある。
社長はこの「社長の責任」と「社員の責任」の違いを理解し、利益責任を自身が全うする覚悟で会社を指揮する一方、社員には実施に集中できる環境を提供することが求められる。この明確な責任分担がなければ、会社の運営は混乱し、組織が目的を見失うことになる。
結局のところ、良い会社とは良い社長が率いる会社であり、悪い会社は悪い社長が率いる会社である。組織の成否は、トップである社長のリーダーシップと責任の覚悟にかかっているのである。
コメント