経営者としての言葉や理念は、社員にとって重要な指針となるものです。しかし、それがただの言葉に終わってしまっては、現場での影響力を発揮することはありません。本記事では、経営計画書の作成や「社長のかばん持ち」を通じて、言葉以上の行動で社員に影響を与える取り組みについて解説します。
経営計画に込めた一文
「諦めずに一歩を踏み出す」。これは、第47期の経営計画書冒頭に記した言葉です。
この一文を作るまでに何度も書き直し、最終的にまったく異なる内容になりました。経営計画書を作成するのは毎年大変な作業であり、それだけ思いを込めるプロセスに時間と労力を費やしています。
なぜこの言葉にたどり着いたのか、自分でも明確な説明はできません。
しかし、この一文が形になり、その年が飛躍の年となったことで、経営計画書は「魔法の書」とまで呼ばれるようになりました。
言葉以上の行動が必要
どれほど時間をかけて計画書を作り、経営者としての思いを言葉にしても、それだけで社員に伝わるわけではありません。むしろ、言葉だけで伝わることのほうが珍しいと言えるでしょう。
そのため、当社では課長職以上の社員や中途採用者、内定者全員に「社長のかばん持ち」を経験してもらいます。
これにより、社長がどのように働き、どのような姿勢で仕事に臨んでいるのかを直接感じてもらうのです。
まずは経営計画の明文化が必要です。まず経営計画を文章化します。

社長の働きぶりを体感する
かばん持ちの社員は、私の移動に同行し、仕事の進め方を間近で観察します。
移動中もタブレットやスマートフォンでメール確認やボイスメッセージの対応をこなし、短い時間も効率的に使います。
このような細切れの時間を最大限活用する姿勢は、他ではなかなか見られないと自負しています。
意識を変える「かばん持ち」
社長の働きぶりを見せ、同じことを繰り返し伝えることで、社員の意識は大きく変わります。「かばん持ち」は社員にとっては無料の経験ですが、外部の人が希望する場合は150万円の費用がかかります。
この経験を通じて、自分の働き方がいかに甘かったか、社員とのコミュニケーションがどれほどずれていたかに初めて気づく経営者も少なくありません。
汗をかいて先頭を走る
経営計画書のまとめには、「社長が先頭に立って汗をかく」と記しました。この言葉通り、私は誰よりも汗をかいて働いています。
その結果、当社の社員たちは「自分は社長になりたい」とは思わず、「社長だけにはなりたくない」と考えるようになっています。
それほど、経営の現場で働くことの厳しさを実感しているからです。
経営者の姿勢は、言葉だけでは伝わりません。行動で示し、社員に直接体感させることで初めて、組織全体に浸透するものなのです。
まとめ
経営者の言葉や理念は、組織にとって欠かせないものですが、それを行動で裏付けなければ、社員に浸透することはありません。経営計画書や「かばん持ち」といった取り組みを通じて、社員に経営者の姿勢を直接感じてもらうことで、言葉以上の影響力を発揮することができます。
経営者自身が行動で示し、組織を引っ張る姿勢こそが、社員の意識を変え、組織全体を成長させる鍵となるのです。
- 明確に経営計画書に書いたら実現する
- 社長が先頭に立って、汗をかくと宣言する
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