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社長とは決定を下す人である

現代はまさに低成長の時代だ。消費の世界では、本当に必要なものや欲しいものだけを慎重に選び取る「厳選の時代」が到来している。一方、企業の世界はまさに「戦国時代」と言える混沌とした競争の真っただ中だ。「厳選消費」と「企業戦国」、これこそが今の世相を象徴するキーワードだろう。

企業は、この苛烈な戦国時代を生き抜かなければならない。そのためには、常に前進し続けることが求められる。立ち止まることはすなわち死を意味する。足を止めれば、製品は瞬く間に時代遅れとなり、販路は競争相手に侵食され、顧客を次々と失っていく。唯一の生存戦略は、絶え間ない革新と未知の領域への果敢な挑戦だ。この積極的な経営姿勢こそが、企業の存続と成長を可能にする唯一の道である。

経営者は果敢に潜在する可能性を掘り起こし、それに挑まなければならない。危険を恐れて足をすくませてはならない。平凡な経営者は、危険を口実に革新を避けようとする。しかし、それでは停滞を招き、やがて衰退の道を歩むことになるだろう。勇気を持ち、リスクを受け入れる覚悟が、真に価値ある未来を切り開く鍵となる。

可能性が革新的であればあるほど、そこには比例して大きな危険が伴う。危険を伴わない決定は、企業の未来に大きな影響を与えることのない、浅い次元の選択に過ぎない。大胆な決断とリスクを取る覚悟がなければ、本質的な成長や変革は期待できない。企業の未来を左右するのは、そうした高次元の選択に挑む姿勢だ。

経営者は、あらゆる結果に対して責任を背負う立場にある。どのような状況であろうと、その責任を回避することは許されない。すべての責任を引き受ける者こそが、決定権を持つのは当然のことだ。

経営者の下す決定は、単に危険を伴うものだけではない。すべての人が満足するような決定など、現実には存在しない。そこにあるのは、多くの反対意見を押し切るという重い判断だ。その重圧は、押し切られた側以上に、経営者自身にとってはるかに大きなものと言える。

その重圧に耐え抜くことこそ、経営者の宿命だ。中でも最も積極性が求められ、困難を伴うのは、「捨て去る」という決断である。

陳腐化した製品を切り捨て、魅力を失ったサービスを見限り、さらには既成概念を捨て去ることが何より重要だ。そして、決断においてもう一つ大切なのがタイミングだ。客観的な状況は容赦なく変化する。ためらっている間に、最適な時期を逃してしまうことになる。

決断においては、巧遅よりも拙速が求められる場面が多い。迅速に行動を起こさなければ、手遅れになる可能性があるからだ。

たとえ決断が間違っていたとしても、何も決めないよりははるかに価値がある。早く動き出せば、誤りにも早く気づけるし、それを修正する余地も残る。

どれほど優れた決定であっても、土壇場になってからでは実現するための時間が足りない。躊躇や迷いこそ、経営者にとって最大の敵だ。判断を先送りし、何も決められない経営者は、やがて会社を破滅へと追いやる。

社長の決断がなければ、どれほど優れた案であっても社内で行動に移すことはできない。社長の判断を待つあまり動けず、焦りと苛立ちを抱えている部下は、実際には想像以上に多いものだ。

経営者が最も戒めるべきは、優柔不断だ。決定に伴うリスクや部下の不満ばかりを気にして迷い続けるようでは、会社を混乱に陥れることになる。

決断することこそが社長の本分だ。社長の優柔不断が原因で倒れる会社は数え切れない。倒産の原因の70%が社長の優柔不断にあると言われるほど、その影響は深刻だ。

会社は社長の性格をそのまま映し出す。社長が優柔不断であれば、社内も同様に足踏み状態になる。逆に、社長が果敢な決断を下せば、社内もそれに呼応して大胆に行動するようになる。

経営者は数年に一度、あるいはこれからはさらに頻繁に、重大な決断を迫られることになるだろう。それは進む方向次第で社運が大きく変わるような局面であり、単なる「決定」ではなく、真の意味での「決断」を必要とするものだ。

決断に必要な情報は、完全どころか、その信憑性すら測りきれないことがほとんどだ。不安定な状況下で、限られた時間内に下さなければならない「断」であり、その結果を見通すことはできない。成功と失敗、繁栄と破綻の狭間で行う、一か八かの「賭け」にほかならない。

そこでは、サイエンティフィック・アプローチのような美辞麗句や観念論は一切通用しない。「問題解決に必要なあらゆる事実を調べる」といった手法は、日常的な業務には適用できるかもしれないが、経営者が社運を賭けて下す決断の場面にはまったく当てはまらない。

それは、不気味な暗雲の中に飛び込む、乗るか反るかの大勝負だ。これからの経営者は、このような試練を何度も乗り越えていかなければならない運命にある。

自社の未来像を心に描き、明確な目標を掲げ、変化に適応する革新を実現し、多くの危険を伴う苦渋の決断を下しながら経済的成果を生み出し、企業を存続・発展させること。それこそが経営者の役割だ。この役割を全うすることで、経営者としての社会的責任も同時に果たされる。

現代は厳しい選別消費や企業戦国時代とされ、経営者は絶え間ない革新と挑戦によって企業を存続させる必要があります。経営者の責任は、企業の未来を見据えて明確なビジョンを持ち、社内外の批判や反対を押し切りながら、時には危険を伴う決断を果敢に下すことです。たとえ情報が不十分であっても、未来への決断を避けてはならないのです。

特に重要なのは、経営者が自ら積極的に「捨て去る」決定をすること。製品の陳腐化や時流に合わなくなったサービスを見極め、果敢に手放す判断をすることが企業の成長には不可欠です。また、スピード感も極めて重要であり、時期を逃さない素早い判断と行動が求められます。拙速でも動くことで間違いの早期発見と対処が可能となり、躊躇せずに決断することが経営者としての価値を示すのです。

経営者の優柔不断が企業を停滞させ、ひいては倒産に至らせることも珍しくありません。社内の行動は社長の決定にかかっているため、社長の果敢さが企業文化にも反映されます。経営者は常に「決定を下す人」であり、時には信頼性に欠ける情報の中でも大きな決断を求められます。その試練を乗り越えてこそ、企業は繁栄し、経営者の社会的責任も果たされるのです。

経営者が果敢な決定と責任感を持ち、革新と前進を続けていくことが、企業の存続と発展に欠かせない道であるといえます。

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