この事例からも、企業が顧客の要求や嗜好を無視することで、いかに大きな損失を被るかがよくわかります。T社の甘すぎる菓子パンやM社の安価でおいしくないコロッケの問題は、どちらも経営者が顧客の変化に適応できなかったことが原因です。
T社のケースでは、社長が「菓子パンは甘いものだ」という固定観念に固執し、現代の消費者が好む控えめな甘さを提供できず、結果的に売上が伸びなかったことが問題です。このような状況では、会社が変わるのは難しいでしょう。経営者が市場の変化を理解し、柔軟に対応することが求められます。
一方、M社の社長は、私の助言に従って売り場に立ち、お客様の声に直接耳を傾けることで、自社商品の弱点を理解し、それを改善しました。このように、経営者が自ら顧客のもとに赴き、顧客の意見やフィードバックを反映させた結果、黒字転換ができたのです。
教訓
- 顧客の声を聞く:経営者自身が顧客の声を聞き、そのニーズに応える姿勢が重要です。現場での顧客の反応を知ることで、商品の欠点や改善点が見えてきます。
- 柔軟な対応:市場は常に変化しており、顧客の嗜好も時代とともに変わります。過去の成功体験に固執するのではなく、時代に合わせて変化することが必要です。
- 品質の重要性:価格競争だけでなく、品質を重視することで、商品に価値を感じる顧客を引きつけられます。特に食の分野では、品質が高いことが顧客満足につながり、収益の安定にも貢献します。
このようなケースから、企業が持続的に成長するためには、顧客のニーズを中心に据えた経営姿勢が不可欠であるといえます。
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