これら2冊の本やマズローの主張から共通して読み取れるのは、承認欲求の充足が人間のハッピーやヤル気を左右するきわめて重要な要因だということである。そうならば、マネジメントに際しても、承認欲求の存在と重要性を直視して、他者から与えられる精神的報酬の増強に向けた積極的な努力が必要になるだろう。組織全体としては、「昇進・昇格」、「プロジェクト・リーダーなどへの抜擢」、「表彰制度」などの公式な承認の仕組みを作ることである。また、リーダーはメンバーに対して、自分の権限で実行できる承認欲求の充足策を考えて実践する。たとえば職場内の表彰制度である。表彰テーマを決めて、月に1回、みんなで投票する。最高点を獲得した人には、リーダーの心のこもった文面の表彰状を用意して、月次ミーティングの席上で表彰する。あるいは、重要案件の受注に成功した営業マンに、同僚が握手を求めて祝福する。成功事例発表会などを通して、成功者の喜びをみんなで分かち合う。そのような「承認のキャッチボール」の習慣を積極的に仕掛ければ、多くのメンバーの承認欲求が満たされて、ヤル気も湧いてくる。またそれは、適度な競争心をも刺激する。メンバーの承認欲求の充足は、リーダーがやるべき重要な動機づけの行為である。
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