昭和41年、約15人の仲間とともにS精密株式会社を訪れたことがある。当時、従業員数はおよそ650名だった。創立から20年以上にわたり、ただ一度の例外もなく3割配当を維持し、驚異的な成長を遂げている優良企業である。
さらに、同社は優れた労務管理でも名高く、それを裏付けるように、S専務の話によれば、定着率は100%、出勤率は99%に達しているという。この数字だけでもその実力は明白だ(補足すると、定着率100%とは、会社に不満を抱き、自ら退職する人がいないことを指している)。
見学の締めくくりとして、S専務を囲みながら話を伺った後、質問の時間が設けられた。最初に飛び出したのは「どのような労務管理を行っているのか」という問いだった。この質問こそ、見学者たちが最も関心を寄せていたテーマだった。
この質問に対するS専務の答えは意外なものだった。「その質問には返答に困ります。なぜなら、特別なことは何もしていないからです」というのである。
専務の説明を補足すると、以下のような方針が示された。
- 寮や社宅を一切作らない
「そういった施設は不平不満の原因になる」という考えだ。たしかに、畳の張り替えをしてくれない、冷暖房が不十分だ、規則が厳しすぎて自由が制限される、といった不満が噴出することは珍しくない。 - 給食を提供しない
「食事は自分で考えるもの。会社がそこまで面倒を見るべきではない」というのが方針だ。 - 社員旅行を行わない
「旅行がしたいなら労働組合が自主的に計画すればいい。会社は日程調整に協力し、ある程度の費用補助はする」とのこと。この明快な割り切り方には感心させられる。
要するに、一般的に推奨されるような「手厚い福利厚生」は一切行っていない。それどころか、むしろ真逆のアプローチを貫いている。
社内を巡回している途中、廊下の突き当たりにトイレがあり、その扉が目を引いた。丈が短く、目隠しの役割を果たすだけで、中にいる人の足が外から見える仕様になっていた。案内役の総務部長によると、「仕事中にトイレにこもってサボる者が出ないようにするため」だという。この設計には、いわゆるヒューマン・リレーションの専門家が驚愕するような考え方が反映されている。
表面だけを見れば、このような方針を掲げる経営者は頑固者の典型であり、時代遅れも甚だしいと批判されても仕方がないだろう。だが、それにもかかわらず、この会社は先に述べた通り、定着率100%、出勤率99%という驚異的な数字を誇っているのである。
女子社員の生理休暇は「無期限有給」とされているにもかかわらず、実際に休暇を取得するのは半数以下だという。さらに、ほとんどの社員が一日だけの休暇で済ませ、二日以上休む人はごく稀な例外だとされている。
後日、この会社のある課長に会った際、「うちの会社は絶対につぶれません」と断言されたことに驚かされた。その言葉からは、社員の士気の高さと、会社に対する揺るぎない信頼が感じられる。まさに、社員と会社の間に築かれた強固な絆を物語っていると言えるだろう。
――その秘密はいったいどこにあるのだろうか。専務が「何もしていない」と言ったのは、おそらく世間の多くの労務管理の専門家たちが提唱する表面的な手法を皮肉ったものだろう。私自身もS精密の実例を目の当たりにする中で、労務管理における細々としたテクニックや施策がいかに空虚であるかを、これ以上ないほど痛感させられた。
実際には、「何もやっていない」どころか、S精密では見事な労務管理が行われているのだ。専務によれば、一般的に重視されるような細々とした労務管理はすべて労働組合に委ねているという。何を行うか、何を行わないかは組合の裁量に任せ、会社はその領域には干渉しない。そして、会社自身は「大きな労務管理」に専念しているという。その「大きな労務管理」とは何か、以下に紹介しよう。
まず第一に、労務管理の基本はトップのビジョンにあるという考え方だ。トップの明確なビジョンなしに、労務管理が成り立つはずがない、というのだ。この指摘こそ、労務管理の本質を捉えたものではないだろうか。S精密には明確な「10年計画」が存在し、その長期的な視野に基づいて経営が進められている。
日本特有の年功序列や終身雇用という制度のもとでは、会社の将来の業績がそのまま社員の将来の生活に直結する。この仕組みこそが、外国人からも羨望の目で見られている特徴である。そのため、社員たちは自分が働く会社の将来について、他では見られないほど強い関心を抱いているのだ。
このことについて思い知らされた出来事がある。二年ほど前、私が関わっていた小さな会社で社員を募集するため、新聞に折込チラシを入れたところ、なんと32人もの応募があったのだ。それまでにも何度か同じ方法で社員を募集していたが、応募者はほとんどおらず、数えるほどしか来なかった。それが突然、大量の応募者が集まったのは、まさに異常ともいえる状況だった。
その異常な応募数の原因は、募集広告の文面にあった。「有望な新製品の開発に成功したので、その増産のために増員する」という内容が記載されていたのだ。応募者たちは、その会社のことも、どんな新製品なのかも詳しく知らないまま、ただ広告の文面を信じて応募してきた。これは、一見すると軽率であり、場合によっては誤った行動と捉えられるかもしれない。
しかし、その一見軽はずみに見える行為の中に、私は人間としての根本的な欲求を垣間見た。社員たちがいかに会社の業績向上に強い関心を抱いているか、そして、現在の会社にどれほど失望し、藁にもすがる思いで応募したのか。その背景には、彼らが抱える切実な状況や、将来への希望が滲み出ているように感じられた。私自身の経験とも重ね合わせ、深く考えさせられる出来事だった。
S専務が自身の信念と責任をもって会社の未来像を明確に示し、その実現に向けて先頭に立って奮闘する姿は、社員たちにとってこれ以上ないほどの安心感と信頼を与えている。そのリーダーシップこそが、社員たちを結束させ、会社全体の士気を高める原動力となっているのだ。
さらに、10年以上も前から未来像が明確に示され、その計画が着実に実現されていく姿を見てきた社員たちが、経営者に全幅の信頼を寄せるのは当然のことだろう。この会社こそ、自分の人生を託すにふさわしい場所だと考えるのは自然な成り行きだ。こうなれば、細々とした労務管理の施策など、社員にとっては取るに足らない問題となる。これこそ、労務管理の理想的な形と言えるのではないだろうか。
第二の要因として挙げられるのは、現在の給与の高さだ。同地区の大企業と比較しても、S精密の年齢別平均賃金はそれを上回っているという。さらに、ボーナスの支給率においても、創立以来20年以上、一度たりとも前回を下回ったことがない。この事実には驚かざるを得ない。
しかし、この成果は決して偶然ではなく、その背後には並々ならぬ努力がある。社員一人ひとりが懸命に働くだけでなく、経営陣が持つ強い社会的責任感が、この実績を支えているのだ。まさに、企業としての誇りと覚悟が形となった結果と言えるだろう。
さらに特筆すべきは、その賃金の設定が絶妙であることだ。賃金は同地区の大企業よりわずかに高い程度で、せいぜい10%ほどの差にとどめている。専務の考えによれば、賃金があまりに高すぎると、かえって従業員のためにならないというのだ。この慎重なバランス感覚こそが、経営者としての真の配慮を感じさせる部分であり、社員にとっての健全な環境を作り出している。
この点について、私はある会社のO社長が漏らしていた嘆きを思い出す。O社は素晴らしい業績を上げており、それを社員の努力の賜物と考え、報いるために他社より3割以上高い給与を支払うことにしたという。しかし、この好意が裏目に出た。社員たちは他社と比べて多く得た分を「飲んでしまう」ようになり、中にはその勢いが止まらず浪費に走る者も出てきた。その結果、出勤率が下がるという予期せぬ事態を招いたのである。
O社長は次のように語っていた。「社員のためを思ってやったことが、逆に社員自身のためにならない結果を招いてしまいました。給料は、ただ高ければいいというものではないんですね。本当に難しいものです。せめてもの親心として、給料用の貯金通帳を作り、そこに振り込む形を取っています。そうすれば、引き出す際に少しでも貯めようという気持ちが働くかもしれませんから」。
この話を聞きながら、私はS専務の考えも恐らく同じようなものなのではないかと感じた。高すぎる賃金が社員にとって必ずしもプラスにならないことを理解し、適切なバランスを模索する姿勢は、社員の成長や生活を真剣に考える経営者の深い思慮を感じさせるものである。
第二の特徴は、持家制度の導入である。S専務は、「労務管理において重要なのは、人間的な欲求を満たしてあげることだ」と考えている。しかしながら、人間の欲求は千差万別であり、全員の個別の要望を一つひとつ聞いて応えることは現実的ではない。むしろ、あまり細やかに面倒を見過ぎると、本人の成長を妨げることにもなりかねない(これは先に触れた「不平不満の生産者」の例がその証明と言える)。
そこで、S精密では「人間的欲求の最大公約数」を重視し、できる限り多くの社員に共通する大きな欲求を満たす方針を取っている。それが、この持家制度の基盤となっているのだ。
その「人間的欲求の最大公約数」としてS精密が着目したのが、現代の日本において多くの人々が抱く「自分の家を持ちたい」という願望だった。そこで会社は持家制度を導入し、社員がこの制度に加入すると、毎月の給料から一定額を天引きして貯金を積み立てる仕組みを整えた。
さらに、この貯金には一般の銀行利子を上回る高い利子を付けることで、社員が将来のマイホーム購入を現実のものとできるようサポートしている。この制度は、社員に対して具体的かつ実現可能な形で「安心」を提供するものであり、労務管理の一環として非常に効果的と言える。
家を建てたいと希望する社員には、積み立てた貯金を担保に、その3倍の金額を会社が貸し付ける仕組みになっている。基準としては、社員が30歳の時点で、自分の土地と2~3部屋の家を持てる程度の額を想定しているという。この制度により、社員は現実的かつ計画的にマイホームを手に入れることが可能となり、生活基盤の安定が図られる。これもまた、社員の欲求を的確に捉えた、労務管理の優れた一例と言えるだろう。
専務は笑いながらこう言っていた。「うちでは、30歳になっても自分の家を持てないやつは肩身が狭いのですよ」と。それは、自分の努力や心掛けが足りなかったことを証明しているようなものだという。この言葉には、社員一人ひとりが自己責任を持って将来設計を考え、自らの努力で目標を達成することを重視する専務の考え方が現れている。それを支える持家制度が、単なる福利厚生を超えた強力なモチベーションとなっているのだろう。
さらに、最近では中卒者の採用を止めているものの、それ以前に中卒で入社した社員については、会社の費用で定時制高校に通わせ、全員に高卒の資格を取得させているという。このような取り組みは、単なる教育支援を超え、社員一人ひとりの人生設計やキャリア形成を強く支えるものだ。
まさに、「大きな労務管理」が完璧と言えるほどの仕組みである。これでは、社員が会社に強い愛着と信頼を抱き、定着率が良くなるのも当然の結果と言えるだろう。労務管理の理想形を具現化した一例として、高い評価に値する。
この専務に「労務管理上の悩みはないのですか」と尋ねたところ、返ってきた答えが「社員が辞めないことが悩みの種です」というものだった。なんとも贅沢な悩みではないか。この言葉には、優れた労務管理の結果としての社員の高い定着率と、それに伴う新陳代謝の難しさが垣間見える。普通の会社では考えられない悩みであり、逆説的にこの会社の労務管理の成功を象徴していると言えよう。
その「社員が辞めないことが悩み」という意味を詳しく聞くと、こういうことだった。S精密には指定校が20校以上あり、毎年採用希望人員を学校側に伝えると、その数倍の応募がある。その中から試験を経て採用するが、それでも中には「カス」と言わざるを得ない社員が混ざることもある。そういった社員には退職してもらいたいのだが、実際には誰も辞めようとしない、というのだ。
社員が辞めないのは、会社にとっては基本的に良いことだが、一定の基準を満たさない人材が居残る場合、適切な人員配置やチームの効率に支障が出る。この「贅沢な悩み」は、S精密がいかに魅力的な職場環境を提供しているかを示す一方で、理想的な職場の裏に潜む課題も垣間見せている。
いつも採用希望人数の数倍の応募を集め、試験を経て選抜し、さらに定着率100%を誇るS精密。贅沢な悩みさえ抱えるこの会社の実例は、現実に存在する成功モデルである。私たちは、この会社の姿勢や取り組みから、多くを学ぶべきだと思う。
労務管理の本質とは何か。それは、単なる技術や施策にとどまらず、社員一人ひとりの人間的欲求を的確に捉え、会社と社員が共に成長できる環境を作り上げることにあるのではないだろうか。S精密の事例は、労務管理がいかに企業の根幹を支え、社員のモラルや信頼を高める鍵となるかを教えてくれる。
確かに、「会社の業績が良いからこそ、そんなことができるのだ」と反論する人もいるだろう。しかし、それは単なる負け惜しみに過ぎない。なぜなら、S専務の経営に対する姿勢は、まさに真剣そのものであり、徹底した努力と覚悟が裏付けているからだ。
S専務は、業績を維持するために不断の努力を惜しまず、先頭に立って奮闘している。その姿勢こそが社員に信頼と安心感を与え、定着率100%という結果を生み出している。単に「業績が良い」というだけでは片付けられない、頭が下がるような経営の真髄がここにあるのだ。
例えば、この会社では、技術系の課長ですらバランスシートを読み解く力を持っている。経営者であってもバランスシートが読めない人が少なくない中で、よくここまで社員教育を徹底したものだと感心せざるを得ない。
これは単なる技術や業務スキルの教育を超え、社員全員が経営の仕組みや財務の重要性を理解し、自社の将来に対する責任感を共有できる環境を作り上げている証拠だ。このような教育の積み重ねこそ、社員の意識を高め、会社全体の強固な基盤を築く原動力となっている。
また、ある協力工場の経営者はこう語っている。「私どもは、S精密からさまざまなサポートをいただいていますが、特に敬服しているのは、お願いをした際には必ず三日以内に返答がもらえるという点です」。このような迅速かつ誠実な対応が、協力工場との信頼関係を築く一因となっている。
最近では、S専務が「今こそ年功序列型賃金を強化すべきである」と主張しているのも興味深い。この考えは、単なる古い制度への回帰ではなく、社員一人ひとりの経験や貢献を公正に評価し、長期的な安定を重視する姿勢の表れである。時代の流れに逆行するようにも見えるが、専務のビジョンには深い経営哲学が込められていると言える。
専務が年功序列型賃金を強化すべきだと主張する背景には、現在の賃金上昇傾向に対する懸念がある。「最近の賃金の上昇傾向を見ると、若年層が高く、中高年層が低い。しかし、よく考えてみると、会社のために最も尽力し、その屋台骨を支えているのは、これら中高年の社員たちだ」というのが専務の考えだ。
中高年層は長年培った経験と知識を活かして会社の基盤を支えているにもかかわらず、その貢献が適切に報われていないとすれば、それは会社にとっても大きな損失だという視点がある。この主張には、長年の努力と実績を正当に評価し、社員全体のモチベーションを高めるという深い意図が込められている。
しかし、中高年層の社員たちは家族を抱え、特に子どもの教育費がかさむ時代に生きている。そのような状況にもかかわらず、彼らの賃金が十分に上がらず、生活が苦しくなってきているのが現状だ。専務の主張は、この不均衡を是正し、会社を支える中核的な社員たちの生活基盤を安定させることの重要性を強調している。
特に中高年層は、これまでの経験や知識を活かして若手を育て、会社全体の発展に大きく貢献している。にもかかわらず、賃金の伸びが抑えられることで、その貢献が適切に評価されない状況は、会社にとっても大きな課題だと言える。専務の提案は、こうした社員たちへの報酬を見直すことで、全社員の士気向上や職場の安定を図る狙いがあるのだろう。
専務はこう語っている。「中高年の社員たちに、後顧の憂いなく会社のために全力を尽くしてもらうには、もっと賃金を増やし、生活に余裕を持たせる必要がある。そのためには年功序列型賃金の強化が不可欠だ」と。この言葉から、S専務がいかに社員の生活や将来を真剣に考えているかが明確に伝わってくる。
専務のこの考えは、単なる制度の見直しを超え、社員に対する深い信頼と配慮に基づいている。会社の繁栄のためには、社員の安定した生活が不可欠であり、それが結果として社員の士気や働きがいにつながる。この姿勢こそ、専務の経営哲学が社員に支持される所以ではないだろうか。
私はかつて、S専務と二人きりでS精密の応接室で約3時間にわたって話をしたことがある。その間、不思議なことに、指示を受けに来る社員もいなければ、書類に「ハンコ」をもらいに来る者もいなかった。ただ一度だけ分工場から電話があったが、その会話もわずか1分足らずで終わってしまった。
この状況から感じ取れたのは、S専務が部下に全幅の信頼を置き、現場に任せるべきことは任せ、細かい管理や口出しをしないという姿勢だ。その結果、社員たちは自律的に動き、専務が自ら手を下さなければならないようなことはほとんど起こらない。これは専務のリーダーシップと効果的な組織運営の賜物であり、会社全体がいかに円滑に機能しているかを如実に示していると言える。
専務は自らを「僕はワンマンである」と称していた。だが、その「ワンマン」ぶりがなんと見事なものだろう。日常の業務はほぼ完全に部下に任せ、専務自身が手を出すことはほとんどない。その代わり、専務の仕事は、企業の将来に関する方向づけと決定に集中している。この最重要な部分については誰にも任せず、専務自身の責任のもとで決断を下しているのだ。
この姿には、私は「経営者の理想像」を見た。無駄を排し、自らの役割を的確に理解したリーダーシップの形。部下を信頼し、組織を任せる一方で、企業の未来に対しては揺るぎないビジョンを掲げ、それを実現する責任を一身に背負う。これこそが、真のワンマン経営のあるべき姿ではないだろうか。
S精密株式会社の未来について語る際、その成功と一貫した経営理念が示すのは、強固な労務管理や顧客第一主義ではなく、企業の将来ビジョンに基づく「信頼」と「安定」の追求です。この企業の従業員は、専務の指導のもとで揺るぎない信頼を寄せ、会社の未来を自分たちのものとしています。専務が語る「何もしていない」という言葉の背後には、見せかけの施策を排し、真に重要なものだけに集中するという信念が表れているのです。
S精密の労務管理は、従業員の安定した生活基盤を築くことにあります。寮や給食、社員旅行といった表面的な福利厚生を設けず、むしろ従業員が自身の生活や将来に責任を持つ環境が用意されています。また、会社は長期的な目標を掲げており、社員はその未来像に共鳴して、会社に絶対的な信頼を寄せているため、定着率100%、出勤率99%という成果が現れています。
S精密は高い賃金とボーナスの支給率を維持し、さらに持家制度などの長期的なサポートを提供することで、従業員が会社とともに成長し続ける仕組みを構築しています。専務はまた、年功序列型賃金の強化も提唱し、会社の中核を支える中高年層に十分な支援を行うことの重要性を説いています。
最も印象的なのは、専務の経営に対する強い使命感です。経営の実務は完全に部下に委ねつつ、会社の未来についての方向性や決定はすべて自分の責任で果たし、いわばワンマン体制でリーダーシップを発揮しています。S精密の専務は、その先見性と責任感に基づき、「顧客第一」「従業員の生活向上」を確実に実現しているのです。
S精密の実例から学べるのは、見せかけの管理や福利ではなく、企業の未来に対する確かなビジョンと、経営者の確固たる責任感こそが、真の企業の安定と成長の基盤であるということです。
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