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愛憎に揺れる心が、人を老いさせる


目次

📖 引用原文

愛する人々と離れるが故に、また愛しない人々に会うが故に、はげしく憂いが起る。それによって人々は老いやつれてゆく。
——『ダンマパダ(法句経)』第5章 第六句


🧩 逐語訳

  • 愛する人々と離れるが故に、
     親しい者、大切な人と別れることによって、
  • また愛しない人々に会うが故に、
     嫌悪する者や関わりたくない人と出会うことによって、
  • はげしく憂いが起る。
     深い悲しみや不安、怒りなど、激しい心の苦しみが生まれる。
  • それによって人々は老いやつれてゆく。
     心の苦しみは肉体にも影響し、人は疲弊し、衰えていく。

🔍 用語解説

用語解説
愛する人々家族・親友・恋人・理解者など、強くつながりを求める存在。
愛しない人々不仲の相手・敵対者・嫌悪や恐れを抱く対象。
憂い(うれい)心の痛み、悲しみ、恐れ、怒りなどの苦しみ全般。
老いやつれる単なる年齢による衰えではなく、精神的・感情的な消耗による衰退。

🗣 全体の現代語訳(まとめ)

人は、愛する人と別れることによって深く悲しみ、
また嫌いな人に出会うことで苦しみを感じる。
こうした心の揺れやストレスが、
やがては肉体にも影響を及ぼし、
人は心身ともに疲れ、老いていく。
本当の衰えは、外的な条件ではなく、内的な執着と苦しみから始まる。


🧠 解釈と現代的意義

この句は、愛憎という二極の感情が人間に与える心身のダメージを、仏教的視点で明確に指摘しています。
単なる「好き」「嫌い」といった感情は、他者との関係性だけでなく、自己の健康や老化、活力にすら影響を及ぼすということです。
ストレスやうつ、慢性的な疲労感の根底には、こうした執着と拒絶の心理的ループがある――このことを2500年以上前から示している点で、本句は現代のメンタルヘルスにも深く通じています。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
チーム内の対人関係合わない人との継続的な接触がストレスを生み、モチベーションや健康に影響を及ぼす。
感情労働顧客や上司への「愛想笑い」や「無理な共感」が、内面との乖離を招き、心理的な疲弊につながる。
執着によるバーンアウト特定のプロジェクトや評価への執着が強すぎると、望まぬ結果に心が耐えられず、燃え尽き症候群になりやすい。
組織文化感情の起伏に左右されず、相手や状況に対してニュートラルに対応できる文化は、メンタルの安定を支える。

🧭 心得まとめ

「心が執着し、拒絶する限り、人は静かに、確実に消耗してゆく」

人を苦しめ、やがて老いさせるものは、外の出来事ではない。
それは「会いたいのに会えない」「会いたくないのに会う」
――このどうにもならない感情に振り回されることである。
だからこそ、何かを愛することも、嫌うことも、ほどほどに。
心の均衡を保つことこそが、真の若さと活力を保つ秘訣であり、人生を穏やかに保つ智慧なのです。


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