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建築中に売り切れ

東京都のH市にある0ハウスは、中級住宅の建売りをやっている。他社には比 を見ない高業績を上げ続けている超優良会社である。 社長とは、もう十年来の付き合いである。

私の「社長セミナー」には頻繁に参 加して勉強に怠りない。 ある時のセミナー会場で、0社長は私に「一倉さん、うちでは困ったことがあります。それは、建築中に全部売れてしまって、完成した時、売る住宅がないのです」と。

何が困ったことか、こんな結構なことはないのである。 その次のセミナーには、「一倉さん、今期も目標経常利益を大幅に突破してしまいそうで困りました」という。全く困った社長である。

その次に会った時には、「あまり調子がよすぎて、これでいいのかと思う」と いうのである。 こんなにもすばらしい会社になったのは、0社長の姿勢である。

その姿勢とは、 「すべてお客様のために」ということである。 その姿勢をもっともよく表わしているのが、フォローである。

住宅というものは、いかに入念な工事をやっても、不具合箇所が出るものであ る。お客様からクレームがつくと、次の瞬間に0社長自らお客様のところへ駆け つける。

これにはお客様の方でビックリしてしまう。そして、二つのことを言う。

一つは「こんなに早く来てくれるとは思わなかった」であり、もう一つは「社長さんが来てくれるとは思わなかった」である。

そして、費用はいっさい無視して、 お客様の満足する修理をする。

それは、自社で建てたものだけでなく、他社が建 てたものでも修理に応ずるのである。

フォローを完璧にするために、テリトリーはH市に限定して、一歩も外に出ないのである。

社長の話は、いつもお客様へのサービスに関することばかりである。

お客様の 満足のためには、家を一棟建て替えることも辞さないというのである。

昭和五四年の二〇号台風では、H市は大突風に見舞われて、多数の家が破損した。

お客様の破損した家を、0社では全能力をあげて無料修理をした。お客様の満足は当然のこととして、他社から家を買った人々が「うちも0社から買えばよかった。うちの建築会社はいくら頼んでも来てくれない」という声が多く聞かれ たのである。

先年、私の「社長のための海外セミナー」に0社長も参加した。帰路の飛行機 で、0社長の隣りに座ったのが、これまた私のお手伝いしているT社の社長だった。

その機中でT社長は0社長から話を聞き、その立派な姿勢に深く打たれた。 ちょうど、家を新築したいと思っていたところなので、0社長に「私の家を建ててくれませんか」と頼んだところ、0社長いわく「それは、どこにお建てになる のですか。

もしも、そこが私どものサービスエリア外だったら、十分なフォロー ができないのでご辞退するより外ありません」と。

結局は断わられたのであるが、断わられたT社長も立派であった。 T社長は、その話のあとで「一倉さん、僕はまだまだダメです。0社長に教わっ たように、経営計画の方針書を全面的に書き替えます」と。

T社長とて、0社長の話を聞くまでもなく、顧客第一主義で、そのために売上 げも業績も大きく伸びていたのである。

その立派なT社長が、0社長をお手本に するのである。T社長も0社長に劣らず立派である。 このような立派な社長を友人にもっていることは、私の幸せであり、そして誇りでもある。

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