台風の中をお客様回り
鹿児島市のY社は建売住宅をやっている。創業数年にして、地場のトップクラ スに躍進したその秘密は、やはりY社長の「顧客第一主義」である。
社長の誠心を込めた建築だけではない。そのフォローが実に立派である。
Y社の経営計画書の中には、お客様への定期訪問計画がのっている。社長はお 客様が入居後三カ月以内に訪間、そして、 一年以内にもう一度。社員はお客様が 入居後三カ月間は毎月、以後は三カ月ごとに一回である。
修理依頼には即座にサー ビス係が飛ぶのはいうまでもない。鹿児島は台風銀座である。
台風情報が入ると、社長は会社に詰めっきりであるc 台風が来ることが分かると、手分けしてお客様のところを回る。それだけではな い。
いよいよ台風が来ると、その土砂降りの中を、社長がお客様回りに出かける のである。社員は社長が何も言わなくとも、社長を見習って飛び出す。
Y社長の話によると、雨が漏っている家にお伺いしても、お客様は怒らないと いうことである。社長の誠意がお客様の心を打つからである。
そのY社長がある時、私に次のような話をしてくれた。
「私はお客様に対する フォローを十分やっているつもりだったが、実はそうでないことが最近分かりま した。というのは、暑中見舞を往復ハガキとしてお客様のご意見を伺ったところ、 かなり厳しい意見や不満があった。
お伺いしても、面と向かっては言いにくいこ とがあるのがよく分かりました。これからは訪問だけでなく、年に二回は書面でお客様のご不満を聞くことにしました」と。
Y社には、セールスマンが一度もお伺いしたことのない人から、問合せがかな りある。聞いてみると、Y社のお客様から話を聞いたというのである。
Y社のお客様は、満足しているが故に、自らがY社の社外セールスマンの役割 を知らない間にやっているのである。お客様の「クチコミ」は、それを無条件に他のお客様が信用するのだ。
「クチコミ」ほど強いPRはないのである。
しかも、費用は一円もかからないのである。Y社の正しい姿勢は、社外にクお客様というセールスクを多く作り出している のである。
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