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全社目標を浸透させる

全社目標を浸透させる

沢井社長は、全社目標の浸透と、従業員の修羅場に入る決意を促すために、職場のリーダー研修を実施した。テーマは、「経営陣とリーダーとの思いのすり合わせ」と「目標達成の阻害要因の明確化とその対策の検討」である。それらをみんなでワイワイと議論する。コミュニケーションを活発にするために、職場のリーダーの何人かは社外研修に送り込む。単なる自己啓発やスキルの習得のためではない。ワイワイガヤガヤの旗振り役をうまくやるためである。そんな努力と経営陣の熱意とがあいまって、職場のリーダーたちは全社目標と解決すべき課題を腑に落とす。経営陣との距離感も縮まって、一体感が醸成される。研修を終え、職場に戻ったリーダーは「職場の目標設定ミーティング」を開催する。そこでは、職場目標を達成するための「メンバー個々人の役割分担」が検討され、それにもとづく「個人目標」もメンバー全員で合意する。このような目標設定や進捗管理の仕方を、「MBOSのオープン展開」と呼ぶ。沢井社長は、長年のMBOSへの取り組み経験から、「クローズド・システム」の展開には限界があることを知っていた。クローズド・システムとは、上司と部下とで、部下の目標を囲い込むような一対一の個人面接スタイルであり、良さもあるが致命的な弱点を持っている。弱点の1つは知恵の創出に関することである。「黒字にするために何をすればいいのか?」というような知恵の出し合いを個人面接でやろうとするのは無謀であり、「衆知を集めること」が必要だ。2つは「協働意識」の欠落である。仕事は分業だけでは成り立たず、協働が必須であるが、個人面接で協働状態を作り出すのは難しい。「みんなとの約束事をやり切る」とか、「協力する、補佐する」というチームワークの強化はオープンシステムに委ねざるを得ない領域である。3つは「競争意識」の欠落だ。モチベーションの源泉の1つに競争意識があるが、個人面接ではその刺激を受けにくい。ヤル気を出すためには、職場のメンバーが「協力しながら競争する」という状態づくりが不可欠である。

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