企業運営において、「見込形態」と「受注形態」の両方を組み合わせた事業モデルを構築することは、安定した成長のために欠かせません。
見込形態の特性
見込形態の事業は、まず「数量」と「売価」を設定して商品を製造し、その後市場で販売するという流れをとります。この手法では、販売が成功すれば大きな利益を得ることができますが、売れ残りが発生すれば在庫の負担が増大し、場合によっては倒産のリスクを抱えることになります。その最大の課題は、「どれだけ売れるのか」という予測の難しさにあります。
受注形態の導入
こうしたリスクを軽減するために、受注形態を取り入れることが求められます。受注形態は、注文を受けてから製造を開始する仕組みであり、売上見込みを明確にしたうえで生産に移ることができます。このモデルは、トヨタのカンバン方式や店頭に並ばない限定出版物、パナソニックの販売網などの例からも分かる通り、需要を事前に把握することで効率的な生産と販売を実現します。
受注形態の特性
受注形態の事業では、「数量」と「売価」を顧客側が決定するため、利益が限定的になる一方で、事業が突然破綻するリスクも低く抑えられます。このため、安定性が高いのが特徴です。しかし、ただ受注を待つだけでは事業の成長は限られます。
両者を組み合わせた事例
印刷会社が紙を販売したり、出版事業を手掛けるケースや、工作機械メーカーが自社ブランドの製品を販売する取り組みなどは、見込形態の要素を取り入れた好例です。これにより、商品を自ら企画・製造し、それを販売する体制を整えることで、企業は収益基盤を多角化できます。
市場蓄積型の商品を持つ重要性
安定的な経営を実現するためには、繰り返し顧客に購入してもらえる商品やサービスを提供することが重要です。
繰り返しの需要を生む商品
建設業や設計業、工作機械や設備用品、さらにはピアノの販売など、繰り返しの取引が期待できる事業や商品を持つことが必要です。これがなければ、企業の安定経営は難しいでしょう。どのような商品を選択するかが、企業の未来を左右します。
消耗品販売の重要性
安定的な売上を確保するためには、鉄砲そのものを売るのではなく、鉄砲玉(消耗品)を売る戦略が有効です。消耗品は継続的な需要が期待できるため、売上の安定化に寄与します。
成功事例①
例えば、会計事務所では、相続対策などの単発的な売上につながる“足し算の商品”ではなく、月次決算や確定申告といった“掛け算の商品”を主軸に据えます。この戦略により、連続増収を達成しており、持続可能な経営モデルの好例として注目されています。
まとめ
見込形態と受注形態を効果的に組み合わせた事業モデルを構築し、市場蓄積型の商品を持つことは、企業が安定的かつ持続可能に成長するための鍵となります。
それぞれの特性を理解し、自社に適した戦略を柔軟に採り入れることで、リスクを抑えながら収益を拡大する道筋を描けるでしょう。
- 「見込形態」:「受注形態」=1:5ぐらいが理想的かも
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