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会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 夢に酔わない現実をしっかり見る。

夢を実現させてついに会社を立ち上げた― その喜びがどんなに大きいものだったか は、私にもわかります。

ところが、実際は夢だけでは経営は成り立っていきません。

夢は夢として、実際の事 業は地に足をつけて、しっかり現実的に運営していかなければ、あっという間に行き詰 まる。

それをいま、実感している社長も多いでしょう。

「世界には困っている人がたくさんいる。日本には、いろんなものがあり余っている。この2つをうまく結びつけてうまく循環させていけば、途上国の人はうるおい、日本で は余っているものを有意義に活用できる」

こんな夢を描いて、リサイクルビジネスを立ち上げた人がいます。

余っているところから足りないところにものを送り届ける、という構想はたしかに 「成り立ちそう」だと思えます。

実際、立ち上げてから1年ほどは仕事は順調に進んで いき、行く先々で、彼の構想は素晴らしいアイデアだとほめまくられ、メディアにも取 り上げられました。

ところが気がつくと、現金が全然入ってこないのです。途上国からの入金がない。

調 べてみると、現地で意気投合してパートナーになった人がお金をもって逃げてしまって いたことがわかりました。

これがきっかけになって、日本で働いていたスタッフも1人去り2人去り……。人もなし、お金も不足……。経営はとっくに黄信号を灯し始めているのに、この経営 者はまだ目が覚めません。

自分の描いた構想は立派なもので、これが成立しないのなら、 世の中のほうが間違っていると信じているのです。たしかに、日本社会は、福祉事業というコンセプトでビジネスをするにはまだ未成熟 です。

だからこそ、その領域でビジネスをするなら、慎重なうえにも慎重にあらゆることを想定し、数字もしっかりはじいて経営計画を立てなければいけないのです。

夢は想像の世界、非現実です。一方、経営はまさしく現実であることを、いつも胸に 刻み込んでおくことが大事です。では、夢はビジネスにならないのか、というとけっしてそんなことはありません。

学生時代にマザー・テレサの記録映画を観たことをきつかけに、人生の生涯テーマを 「ボランテイア」と決めて起業。

しかし、個人の力では限界を感じてビジネスを興し、 その利益でボランテイア活動を行う、というビジョンをもとに会社をつくり、成功させ ている経営者もいます。

後者の場合は、夢は夢として追い求めながら、夢の実現にはお金が必要であるという 現実的な視点をけっしておろそかにしませんでした。

ある起業支援ビジネス会社が「起業する人の理由」を調べたところ、「お金を儲けたいから」という理由を一番にあげた人はゼロだったそうです。一番多かったのは「夢だから」「自分がやらなければいけないという使命感から」。

でも、どんなに立派な動機でも、かつこいい目的でも、会社がつぶれてしまつたら何にもなりません。

経営者になるということは、夢を追いかけながらお金も回していく、その両方をうまくやり遂げていくことです。そういう社長であれば、人もちゃんとついていき、夢もビジネスも育っていくでしょう。

▼夢を追いかけるのではなく、夢を現実のものにしていく。これが経営。

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