会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は ブンなЦ 迷わない
私は、コンサルテイングを始める前に、必ず、「将来、会社をどうしたいのですか?」 とお尋ねします。え、そんな当たり前のことを? と驚かれるでしょう。でも、もっと驚くのは、この 質問に答えられない経営者が少なくないことです。
「いやあ、別に……」とか、「起業するときには一応、こんなことをしたい、というビジョ ンをもっていたんですが、最近は、資金繰りに追われるばかりで……。
月末が終わると、 すぐに翌月の支払いをどうしようと考えているありさまなんです」。
そんな答えが返ってきます。
経営に窮しているから、私のところに相談にこられるのでしょうから、その事情も察せられます。
でも、経営者自身が目指す方向がわからないようでは、社員はただ困惑するだけです。
社長の最大の仕事は「水先案内人」です。会社をどうしたいのか。どんな方向を目指 していくのか。将来、こんな会社に育てていきたい……。
こうした先々のビジョンが明 確に示されなければ、社員はがんばるどころか、そのうち、社長についていこうという 気も失ってしまうでしょう。
案内人である社長自身が掲げたビジョンを見失ったり、ブレたりしていれば社員は迷子同然、仕事をしていても右往左往するだけです。
これでは成果が上がらず、経営状態は悪くなることはあっても、よくなることはまず望めません。
いつの間にか、経営者自身がビジョンを見失ってしまう。その最大の理由は、「目先 のことに追われてばかり」いるからです。
たしかに経営者はものすごく忙しいものです。私自身に経営経験があるので、経営者 がどれほど多忙であるかは、痛いくらいにわかつています。
でも、社長業に言い訳は通用しないのです。
では、起業したときよりもっといいビジネスを思いついた。
その場合も、事業を変えることは「ブレる」ことになるのだろうか、という疑間をもつ方もいるでしよう。私はビジネスモデルを変えてはいけない、業態を変えてはいけないとはいっていませ ん。
変えてはいけないのは企業理念であつて、それに根差しているならば、何をどう展 開しようとかまわないのです。
世界最高の起業家といわれるイーロン・マスクはまだ40 代の若き経営者です。現在ま でに、オンライン決済システムのペイパル、電気自動車のテスラ。モーターズ、宇宙事 業のスペースX、太陽光エネルギー事業のソーラーシティなど複数の事業を次々立ち上 げてきましたが、彼の理念は創業時から少しも揺らいでいません。
イーロン・マスクが掲げる企業理念は、「人類の未来の発展に貢献すること」。
彼が展開しているビジネスは一見、あれこれ手を出しているようですが、すべてが「人類の未来」という視点にフォーカスされていることに気づきます。
イーロン・マスクとくらべるとちょっとヶ夕は違いますが、ある地方都市でレストラ ン事業や中古パソコン店、古着店などを何店舗も経営している人がいます。
彼の企業理念は「さびれかけた商店街をもう1度元気に」です。
あれもこれもと手を伸ばすのは、 迷いでもブレでもなく、むしろ、「さびれかけた商店街をもう1度元気に」という思い を貫徹させているのですね。
こういう経営者なら、社員は必ずついていきます。
▼経営者の姿勢にブレや迷いがあってはいけない。
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