「なぜ、もっといろいろなトライをしてみようとしないのだろうか」 1000余名の相談者と接してきて、私はつくづくそう思っています。
あるジャンルで新規ビジネスを立ち上げたのだがうまくいかない。
すると、もう音を あげて、「このビジネスはもうダメです。でも、ほかに何をやっていいかわからない」 と私のところに駆け込んでくるのです。
もちろん、私も一緒になつて知恵を絞りますが、その場合も、自身は何も考えようと しない。こんな経営者が少なくないのです。
そこで、私はコンサルテイングのたびに、「これがダメならこういうことは考えられ ないの?」などと質問攻めにして相談者を追い込みます。
すると、さすがに何か考えてくる経営者もいるのですが、ほとんどはそれまでのビジ ネスのアレンジでしかありません。
いままでの路線でいい結果が出なかったから苦しんでいるのに、なぜ、新たな領域や新たな方法論を考えようとしないのか。
私は毎回、首をかしげています。
「思いつくことを次々、小さな規模でやってみて、トライアルの結果、いいものをやっ ていったらいいじゃないですか」。
経営は試行錯誤がとても大切なのです。コンビニ業界では、ファミリーマートとサークルKサンクスの合併により店舗数で第 2位にまで迫ったファミマ。しかし、1店舗あたりの売上はセブンイレブンが圧倒的1 位。
コンビニは一番近い店を利用するのでは、と考えがちですが、最近は弁当やおにぎ りなどの主力商品のクオリティで選ぶ顧客が増えているのです。
セブンイレブンはここに着目。
弁当などの食品を中心に矢継ぎ早に新製品を売り出し、 一方、売れないものは、長い開発時間をかけた商品であっても、1週間程度で店頭から 引き上げるという変幻自在戦法で、圧倒的な強さを発揮しています。
コンビニにはいろいろなものが並んでいますから、おにぎりを買いに来たついでにこ れもというついで買いも多く、こうした戦法で、店舗あたりの売上で他チエーンに大き な差をつけているというわけです。
くるくる方針を変えたり、次々、売り物を変えたりすることなどを「朝令暮改」とい い、普通は避けるべき行動とされています。
しかし、現在は変化の時代です。変化は逆に大きな強みになっています。積極的に「朝令暮改」を仕掛けていく経営者。
いまの時代には、むしろ、こうしたフッ トワークの軽い経営者のほうが成功の確率は高いのです。
▼朝令暮改。百戦錬磨。あの手でダメならこの手を試す。
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