私の相談者の多くは年商5億円から30 億円くらいの中小企業の経営者です。実は、経営はこのクラスが一番しんどい。
もっと小さければ家内工業レベルでなんとかなるし、 逆にもっと大きければ、あらゆる意味でスケールメリットを働かせられます。
どんな大企業も例外なく、このしんどい段階を通過して大きくなったのです。
もちろん、どの会社もどんどん大きくなつていくとはかぎりません。
ウミガメの赤ちゃ んは1度に何十、何百匹と卵から孵り、小さな手足を懸命に動かして海に向かいますが、 後年、生まれた浜に産卵のためにふたたび帰ってくるのはそのなかのほんの数匹。
いえ、 もっと少ないかもしれません。企業も同じです。ソニーもホンダも、ソフトバンクも京セラも、創業したときはまさ に中小企業そのものでした。
京セラが創業したときの社員数はわずか28 名。現在の京セ ラは社員数7万人余。
ソニーもソフトバンクもユニクロも、起業時には社員数名〜数十 名の小さな、小さな企業に過ぎませんでした。そこから今日の大企業に成長するまでには、数えきれないほどの危機を乗り越えてき たはずです。
あるデータによると、日本の会社390万社のうち、設立1年後の生存率は60 %、設 立5年後では15 %、10 年後では6%。
創立10 周年を迎えられる企業は、100社中6社 という厳しい道のりです。しかし、どんなに厳しい道のりでも歩み続け、ついには日本を代表するような大企業 へと成長していく企業もちゃんとある。
これも絶対的な真実です。消えていく企業と大きく成長する企業の違いは何なのでしようか。京セラの稲盛和夫さんは、私が最も尊敬する経営者の1人です。
稲盛さんは、創業当 初から、「この会社を世界一のセラミックスメlヵlにしたい」と考え、社員に対して、いつもそう語っていたそうです。
このように、経営者自身が不撓不屈の思いをもっていること。これは非常に大事なこ とです。
企業戦略的に見れば、厳しい競争社会のなかをどのようにして勝ち抜き、生き抜いて いくかの戦略が明快であるかどうかも明暗を分けます。
稲盛さんのように、壮大なビジョンを掲げることは非常に重要ですが、実際の成長戦 略では、最初から世界ナンバ11を掲げても身の程知らず、根拠のない幻想だといわれ ても仕方ないでしよう。
まずは、全社員一丸となってがんばればなんとか届く小さいナンバ11を目指すこと です。そこからしだいにナンパ11の規模を少しずつ大きくしていく。
町や市のナンバ11 から県でナンパ11、次には地域ナンバ11、さらに日本ナンバ11、そしてついに世 界ナンバ11とはい登るようにして、事業を発展させていくのです。
ただし、事業は経営者の器以上には大きくなりません。何よりも、経営者の人間力、経営力が徐々に成長していくことが必須です。
社長の器が小さければ、その人が経営する企業もそこ止まり。特に企業の規模が小さ いうちは、よりいっそう経営者の人格、経営力が問われます。
経営力を磨き、器を大きくしていくにはどうしたらいいのでしょうか。私は、修羅場を踏むことこそ、人を大きく育てると思っています。
私自身がまさにそ うでした。140億円という借金を背負い、そこから抜け出すまでの8年間の修羅場。私の今日は、その日々があつたからこそです。
つらいときには、これも世界ナンバ11に近づいていくために必要な過程だと考えま しょう。そこを抜けたとき、見える景色は必ず大きく変わっています。
▼世界ナンバ11 への道の一歩は小さなナンバーーから。
どの企業もこの順序を踏んでいった。
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