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会社をつぶさずに、安定した経営ができる社長は 子どもに会社を残すことにこだわらなL

自分が立ち上げた企業を息子など次代に継承させ、何代も続けていく。これは創業社長なら誰でも見る夢でしょう。

世界的に見ても、日本の老舗企業の数の多さは圧倒的です。

2008年に韓国銀行 がまとめた報告書によると、創業200年以上の歴史をもつ世界の5586社のうち 3146社は日本の企業で、実に全体の56%を占めています。

うち、上場企業は469 社。東証1部にかぎつても322社もあるそうです(″8ao〓3 2012年)。残念ながら2005年に破産してしまいましたが、それまで日本最古だったのは寺社 建築を手がける「金剛組」。

578年、聖徳太子によって百済から招かれた宮大工によっ て始められた企業だというのですから、絶句してしまいます。

ちなみに、現在、日本最古の企業は705年創業の山梨・西山温泉の旅館「慶雲館」です。なぜ、日本企業には老舗企業が多いのでしょうか。

日本の企業は家族的経営が多く、 血縁を大事にして次代に継承していく傾向が強いからだと、私は考えています。

最近は、事業を継承していくことそれ自体が非常にむずかしい時代になっているとつ くづく感じます。

少子高齢化の影響がじわじわと日本の経済基盤そのものにおよんでき て、あらゆる業界のパイが急激に縮小してきているからです。

私のところにも、売上が減少し、利益も圧縮されてきている。将来に明るい希望はもちにくいが、それでも息子や娘に事業を継いでもらいたい。

でも、苦しいことがわかっ ていて継がせていいものかどうかと苦慮している経営者が次々、相談にこられます。

こうしたとき、私が出す答えは「NO」です。だからといって全否定ではありません。企業は継承しないが、事業は引き継いでいく。

そういう方向を探ったらどうでしょう、と提案しています。古きよき時代の置き土産のような、借金つきの企業を継いでくれ、といわれれば、子どもも戸惑うばかりでしょう。

苦しい経営を引き継げば、ほとんどの場合、継承した子 どもはさらに苦しい経営を強いられることになります。こうした場合には、思いきりよく企業継承はあきらめたほうがいい、いや、あきらめ るべきだと私は断言しています。

すると、多くの経営者は、「○○地方では古くからの名門として名前を知られている のに、そんなことはみっともなくてできない」とか「代々の経営者に顔が立たない」な どと見栄や体裁をもち出してくるのです。

代々続いてきた会社だから見栄がある、体裁が悪い、だからやめられないという理屈 は通りません。

すでに行き詰まり感が出て、赤字に転落しているようなら、代替わりを 考えるタイミングに、企業を収束する方向に向けて検討を始めるべきでしょう。

そのかわり、それまでの企業経営の核になっていた事業、コアコンピタンス(競合他 社を圧倒的に上回る事業)をしっかり残し、それをさらに磨き上げていくのです。

つま り、将来性が見込める事業に経営資源を集約し、次世代に継承させていく方向を選択す るということです。

「息子が後を継ごうとしない」「後継者がいない」と泣き言をいう経営者が増えていま すが、こうして見込みのある事業を核に新会社をつくれば、新会社は借金ゼロからのス タート。

身軽な状態でスタートを切ればフットワークも軽く、有望市場で先頭をきつて 進んでいけるのです。息子さんなど後継者も将来に希望を感じて、考えを変える可能性 はけっして小さくないでしよう。

その一方で、負債を抱えた企業のほうは、思いきって清算します。

ウミを出し、血を流すこともあるでしょうが、少なくとも現在以上に状態が悪化し、すべてを失うよりは ずっとよい結果が得られるはずです。

何よりも、事業を継承した次世代は明るい希望をもって、新たな事業に挑んでいくこ とができるのです。

次の世代を思うなら、こうした道を用意し、新たな挑戦に送り出し てあげるのが親心。

先代社長のやるべきことではないでしょうか。

▼企業を継承させるのではなく、事業を継承させる。

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