成功する経営者になるための条件は? 私の答えは、「必要なときに、必要なだけの資金をちゃんと借入できる」ことです。
第3章でも書きましたが、大事なことなので繰り返します。
自己資金がふんだんにあ る。だから、利子のつくお金を借りなくても経営は維持できる……。
あえていわせてい ただけば、これは前時代的な経営です。
現代の経営はむしろ積極的に金融機関とのパイプをつくり、資金繰りを円滑にし、ま た、事業の拡大。発展を目指すときの融資を得ていくべきでしょう。一寸先はどうなるかは誰にもわかりません。
無借金経営で順調に進んできていたとしても、取引先が倒産するというようなことが起これば納入先を失い、次の納入先を確保 するまでは収益源を失ってしまいます。
売掛金がこげっいて、キャッシュフロー不足におちいる可能性だってあります。こうしたとき、初めて金融機関からお金を借りようとしても、そう簡単にことは運び ません。
これまで無借金でやってきた優良企業なのだから、どの金融機関でもすぐに融 資してくれるだろうと考えているなら、あまりにも金融機関について知らなすぎるとい えます。
金融機関は財務内容がいいからということよりも、これまでの融資実績、そのときの 返済実績をもとに、次の融資を検討するところなのです。
つまり、銀行は融資実績のない企業には原則としてお金を貸しません。もちろん、どんなことにも初めの一歩はある ものですが、取引開始にはそれなりの手順と時間が必要です。
取引先の倒産、あるいは大地震など自然災害で突然営業ができなくなつた。そうした とき、当面のつなぎ資金を緊急で借りたいという必要性が起こります。
無借金経営だと 懇意の金融機関がないので、相談する先がありません。
こういう場合に備えるためにも、ふだんから適正規模の融資を受けて金融機関との関係を保っているほうが、融通をきかせてくれる可能性が高いのです。
取引にあたっては、銀行もまた1企業であり、金融業務を通じて収益をあげ、生き残っ ていかなければならない宿命をもっていることを忘れてはいけません。
金融機関はお金を貸すのが商売。こちらはお金を借り、その資金でビジネスを展開す る。そしてその間の金利をきちんと支払い、約束の期限までにきれいに返済する……。これが正しい関係です。
この関係をきちんと守っているかぎり、金融機関と企業の関係 はお互いに同等の取引先同士という関係です。金融機関側が上から目線で企業を見るのはもちろん、企業側がへりくだり、下手に出 るのも間違っています。
いうまでもなく、こちらはお金を借りて、金利を払ってやって いるんだと思い、大きい態度をとるのはさらに間違った態度です。
あくまでも対等な取引先という態度で誠実に取引し、いざというときに親身になって くれる金融機関をもつことは、中小企業経営の生命線の1つだと、私は考えています。
▼無借金経営はただの無知。金融機関から適正なお金を借りているのがよい経営。
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